昼と夜で表情が変わるルーブルアブダビ

2017年の11月、ルーブル美術館の別館がアブダビに誕生しました。30年のライセンス契約でその名を借りているという中東の地のルーブルですが、まだ開館してから1年半。まだまだ目新しい観光名所について書いてみようと思います。

こちらの写真はルーブル美術館に展示されていたルーブルアブダビの建築模型です。フランスの建築界の巨匠、ジャン・ヌーヴェルの設計によるもの。ジャン・ヌーヴェルといえばパリのアラブ世界研究所で名を為し、同じくパリのケ・ブランリ美術館(ヨーロッパ以外の各地の諸品を集めた美術館)なども設計された方なので、中東の地アブダビにフランスの至宝ルーブルの名を冠する美術館の設計者としてはこれ以上ない人選と言えるでしょう。ですが、そんなバックグラウンドはどうあれ、見ての通り興味深いデザインです。この模型を見た瞬間にアブダビに絶対行こうと決めました。

ルーブルアブダビはサディアット島の北西部に位置します。

ルーブルアブダビ入館

タクシーで駐車場に到着すると、美術館へはこちらの回廊を通って行きます。回廊の途中にトイレがありましたが、こちらは閉館直前の時間には施錠されてしまっていましたので、もし閉館時間までいる場合はこちらは期待せず美術館内で済ませましょう。

で、回廊を抜けるとお待ちかねのこの風貌です。タクシーで向かう道すがら、橋上からも見えていましたが、やはり近づくと迫力が違います。ぜひ生で見ていただきたい。

上の写真の左手にはルーブルアブダビの刻銘が。ひっきりなしにみなさん記念写真を撮っておりました。

チケット売り場です。昼過ぎの一番混みそうな時間帯でしたがこの通りほぼほぼ並ばずに買えました。ネット予約もできるようですが、当面は不要でしょう。近場にできる予定のグッゲンハイムなどなどが揃い本格的に観光地化すればわかりませんが、それはまだ先だろうなと思います。

常設展示

常設展示の最初の展示室ですが、床に世界各地の都市が各国語で記されています。展示を見ると、国も時代も違うが同様のコンセプト、テーマで作られた物が数点ずつ並べられています。時系列に地域別に並ぶ従来的な博物館とは異なる現代的な展示風景です。

最初の模型でもなんとなくわかる通り、大屋根の下は箱がいくつも並べられた状態で展示室が区切られています。この写真のようなサイネージがエリアごとに用意されていて、現在地が把握できるようになっています。

展示居室は全体に天井からの光が取り入れられていて明るい。日が沈んだ後はまた少し様子が違うと思います。また、全体的に余裕のある展示スペースで人も比較的少なく、じっくり鑑賞できました。

時折変わった展示風景も。この石壁の中にはエジプトの書物や棺桶などがありました。やはり中東の地での展示ということであまり他では見られないアラビア語の刻まれた壺や皿など、またインド系の風味溢れる彫像などが結構な数あったように思います。

結構日本由来のモノの展示があったように思います。こちらは屏風状の世界地図と日本地図。漢字で書かれた昔の地名が興味深かった。

また日本でもなかなか直接見る機会は少ないこんな武者鎧も。Nabeshima Yoshishige とあり、Japan, 1707-1730と記載されていましたが、おそらく江戸時代の佐賀藩主鍋島吉茂で、1664-1730が正しそうです。Wikiによれば1707年は家督を継いだ年のようです。展示の記述によれば、この鎧は式典用だが、兜には8つの弾痕があり、その防御力を示しているそうです。確かにいくつか凹みが見られますが、どういう経緯でついたものなのかは地味に気になります。試し撃ちでついたものか、幕末期の動乱でのものなのか。

Jenny Holzer(USA, 1950-)による作品。仏のモラリスト、ミシェル・ド・モンテーニュの『随想録』の手稿「Bordeaux Copy」を石灰岩に刻んだものだそうです。展示室の途中でガラス窓からも見えるので皆さん一様に写真を撮っていましたが、会場を出て文字を判別できる距離まで近づくこともできます。石を囲む広い溝は本来は水が張られているようですが、この時は干上がっていました。

ここルーブルアブダビの目玉の一つダ・ヴィンチの『ミラノの貴婦人の肖像』の間です。2010年にこの絵の模写が150万ドルで落札されたということで話題にもなりましたが、この左の黒い枠内に収まるその作品もパリのモナリザとは比較にならないほどじっくりと鑑賞することができます。

そのルーブルのモナ・リザの展示前の様子です。まあ、圧倒的な地名度の差があるとはいえ、同じ作者のものとは思えない差です。こちらは常に人だかりで正面まで行くにはかなりの忍耐が必要。何度か見に行きましたが、未だ正面から見ること能わずです。。そういえばルーブルのピラミッド築30年のAirbnbとの企画イベントで、この4月30日にルーブルに宿泊できるというチャンスに応募が殺到したというのがしばらく前に話題になりました。そのチャンスをモノにしたカップルのニュースを見ましたが、このモナリザの前でシャンパンを飲んでいましたね。実に羨ましい。

こちらはパリの本家ルーブル美術館に展示されていた絵画の一つです。かつて『ミラノの貴婦人の肖像』がルーブルに展示されていた当時の姿が描かれています。

こちらもおそらく目玉の一つ。教科書でお馴染みのナポレオンです。通路の先に威風堂々たる佇まい。この先、中世絵画の間が続きますが、意外なほど少なかった。ゴッホやドガなどもありましたが、食傷するほど名画まみれのルーブルをイメージしていくと物足りないかもしれません。

一番最後のエリアにはコンテンポラリーも少しだけあります。

こちらが常設展示の最後。ゴージャスな立体像が目を引きます。

常設室の外に出ると見たことのない天井。降り注ぐ「光の雨」です。そして、塔の上に立つロダンの像が絵になります。展示の中にもロダン作品は色々ありました。

企画展示 

常設展示の会場外、企画展用のスペースもあります。企画展は2つやっていましたが、1つはオランダ美術の特集でレンブラント作品に加え、フェルメールが2点展示されていました。左はパリのルーブルでも見た『レースを編む女』、右はニューヨークの『ヴァージナルの前に座る若い女』でした。パリルーブルではむき出しで置いてましたが、こちらはこの美術館内で一番厳重な防御がなされていました。

光の雨の中

模型を見てからずっと気になっていた中の様子です。天井に広がるメカニカルな模様はかなりのインパクトがあり、中にいると非日常的でとても不思議な感覚になります。

日が沈む前は隙間から青空の光が注ぎます。白い建築物の上に大きな傘を被せたような。この屋根は取り外せてしまいそうに思えます。網目は一様ではなく屋根の内側にいくほど細く小さくなります。

水場の階段は憩いの場です。見ての通り相当広い空間です。奥の白壁の前でダルマさんが転んだらしき遊びをやっている子供達がいました。聞きなれない言語でしたが、顔立ちからしておそらく東欧系の家族だったのではないかと。

夕日に照らされて黄色く染まってきました。天井の中のライトが光り始めます。

ヘリの方に行くと、屋根の巨大さが際立ちます。日が沈む頃には天井のライトアップが際立ち、昼とはまた全然違った表情になります。とても明るい。

ここを訪れる時は、昼過ぎから展示を周り(のんびり見ても3時間あれば十分です)、カフェや水辺で休憩してから日が沈むのを見て、夜景を楽しんで帰るというのが正解じゃないかなと思います。

ミュージアムショップは思ったよりこぢんまりしていました。

間も無く閉館。名残惜しいですが、出口に向かいます。

出口のゲートをくぐりましたが、まだ終わりではありません。振り返って見ると煌々と輝く天井が。これまた見事です。

タクシー乗り場に向かう前に、海辺に出て振り返って見ましょう。このように海に浮かぶ不思議な建物の様子が見られます。ここまで見て、なお名残惜しいですが大満足して帰宅の途に着けるのではないかと思います。

ちなみに僕はコーニッシュビーチ近くのセントレジス に宿泊しました。ルーブルまではタクシーで15分ほどの距離で、プライベートビーチなどもありオススメです。

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