【利用法解説】海外旅行では海外SIMカード利用がお得

スマホの普及に伴って、海外旅行の難易度は格段に下がりました。今やGoogleマップなどのアプリを使えば、世界中ほとんどの場所で迷うことなく観光が可能になっています。

しかし、肝心のスマホもネットに接続できなければものの役に立ちません。海外でのスマホでのネット利用の手段はいくつかありますが、この記事では、海外経験豊富な僕自身の経験を元に圧倒的にお得かつ便利な海外SIMの利用方法について解説してみます。

海外のSIMカードを利用するメリット・デメリット

iPhoneとSIMカード

スマホを利用されていれば、その端末にSIMカードと言われる小さなICカードが入っているのはみなさんご存知ですよね。このSIMカードは旅行先の現地の通信キャリア(ドコモとか)のものに差し替えて使うことが可能です。

メリット

最近ではSIMロックを解除して格安SIMに乗り換えて使っている方も多いと思いますが、基本的にはそれと同じことを海外でやるだけですので、難易度は高くありません。日本であれば継続利用が前提の契約になるため切替前のキャリアとの契約破棄しますが、海外SIMの場合は期間指定の使い捨ての契約で利用し、帰国後は再び日本の通信キャリアに戻して使えるため、契約変更に伴う煩わしさもありません。

いろんな選択肢がありますが、相手国の通信キャリアのSIMを利用すればそもそも通信料がかなり安いですし、複数の国で使えるようなものもあるので、特にヨーロッパなど複数国を周遊旅行するときなど非常に心強い味方になってくれます。

また、SIMカードを使えば、電話やSMSの利用も可能(多くの場合、電話無料分がついてきます)なのもメリットです。

海外旅行では、ホテルに早く着いたけど部屋がまだ用意できていないということがよくあるのですが、そんな時、ホテルから準備出来次第SMSか電話しますと提案されることがあります。電話として使える状態になっていればこういった場合に重宝します。(対応がルーズなので、5つ星ホテルでも電話すると言いつつしてこないケースが結構ありますが・・・)

デメリット

事前にSIMロック解除していないと使えない。最近は購入時にSIMロック解除しますかと聞いてもらえることも多くなりましたが、もしやっていない場合には折角SIMカードを購入したにもかかわらず、現地で利用できないということになるので注意が必要です。

また、SIMカードはキャリア固有の電話番号が割り当てられているので、当然SIMを入れ替えている間は元の電話番号は利用できません。もし海外でも元の電話番号を利用しなければならないのであればSIMカードは選択肢から外れます。後述する3つの代替手法を検討ください。

SIM以外の通信手段はダメなのか?

冒頭に書いた通り、海外での通信手段には現地のSIM以外にもいくつか選択肢があります。旅行のスタイルによってはそれぞれ一考の余地はあるため、具体的に解説していきましょう。

フリーWiFi

ネットを頻繁に利用せず、利用方法は情報収集のみというのであれば可

日本はフリーWiFiが少なくて観光客に優しくないといった批判がかつてありました。実際、海外を旅行していると街中の多くの場所でフリーWiFiのスポットや充電設備なども用意されているのを見かけるので、常時ネット接続できなくても構わないという方であればフリーWiFiで凌ぐことはある程度できそうです。

しかし、本当にスマホでの情報収集が必要な場面というのは、フリーWiFiが繋がらないような場所でこそ生じるものです。道に迷ったときや予想外の事態に巻き込まれた時にネットに繋がらないというのはかなり心細いんですよね。

それに加えて誰でも接続可能なフリーWiFiには、そもそも通信の傍受やウイルス感染などいろいろなリスクがあります

ホテルのWiFiに繋ごうとすると、ホテル名とそっくりなWiFiスポットが複数あるということもよくありますが、そこで間違えて偽スポットに接続してしまうと、通信の傍受ばかりか、最悪、スマホの中の情報を抜き取られてしまう可能性すらあります。

僕自身はそういったリスクを避けるために基本的にフリーWiFiは利用しません。念のためにVPN接続を利用するという選択肢もあるのですが、VPN自体に危険なものがある上に、コストも手間もかかるので、そこまでするなら初めからSIMを利用したほうが合理的ですね。

キャリアの海外利用プラン

割高で事前手続きが必要だが、スマホだけで完結するので便利

ドコモ、au、ソフトバンク、楽天といずれのキャリアもそれぞれに海外利用が可能になっています。

ここではドコモのケースを見てみますが、ドコモの場合はまず海外利用オプションの契約を事前に実施した上で、ドコモ海外利用アプリをインストールしておく必要があります。現地では1時間から7日間まで、利用したい期間に応じたプランの利用ができるようになっています。

仕組みとしては、ドコモが契約している現地キャリアの通信回線を間借りする形になるため、基本的に日本で利用しているのと同じ感覚で利用することができます。が、しかしこの利用料がめちゃくちゃ高いです。基準となる1日利用が980円。しかも現地で利用した通信分は日本で契約している通信量から差し引かれるようになってしまいました(以前は別でした)。

さらに注意が必要なのは、この海外利用アプリの設定をミスって利用を続けてしまった場合、最悪、とんでもない額の請求が来る可能性があるところです。

手続きがスマホだけで完結できる手軽さはあるので、短期間の渡航では重宝する場面もあるのですが、正直、コストデメリットが大きい通信手段かなと思います。

モバイルWiFI

荷物・手間が増えコストがかかるが、接続は簡単

コロナ前はテレビCMなどでよく見たので、海外での通信といえばまずモバイルWiFiをイメージする方も多いかもしれません。空港に行けば、出入国ゲート前に必ず出店していますし、ネットで事前に入手できるところもありますね。

ただ、個人的には、管理すべきデバイスが増えることが致命的なデメリットです。できるだけ荷物を減らしたい旅行において、小さいとはいえ荷物が増えることはいただけません。ましてや、通信するためには、都度WiFiのスイッチをオンオフする必要がありますし、電源のチャージも必要です。

ただし、僕の場合は荷物を持たずに街歩きをするのでデバイスが邪魔になるのですが、鞄を持ち歩く普通の方にとってはこのデメリットはそれほど大きなものではないかもしれません。

利用終了後の返却手続きが必要なのも面倒かなと思います。空港に返却デスクはありますし、郵送返却も可能ではあるので、ほんの一手間ではあるのですが。

とはいえ自分のスマホをそのまま利用しつつ、簡単にネットに常時接続できる上に、ローミング設定を間違えて高額請求のリスクも避けられるという点の優秀さはやはり支持されるメリットなのでしょう。

下記リンクからグローバルWiFiの割引が利用可能なので、後述するSIMは設定が面倒、海外で一時的に日本の番号が使えなくなるのは困るという方はこちらを利用するのもありかなと思います。

格安SIMを日本で事前調達する方法

僕が欧米で実際に利用したことのあるSIMカードとその使い方をここではご紹介していきます。Amazonなどで検索するといろんなキャリアのものが無数に出てきますが、多くのものが同じ業者が扱っている様子で、いくつも試してみても結局同じような設定方法の書類が付いて届きます。

なので、お好みのものを選べばよいと思いますが、ここに挙げたものは僕が実際に問題なく使えた大手キャリアのものの中でも比較的安価なものなので参考になるかと思います。

Webで事前購入できるプリペイドSIMカード

アメリカ Lycamobile

t-mobileの回線を利用したこちらのSIMは、5日〜30日までの間で9パターンの使い放題プランが用意されています。旅程に合わせて選べるので使い勝手が良いと思います。飛行機の着陸後すぐに利用することが可能で、東海岸を周遊してみましたが接続不良などは一切なく、常時4G接続で快適な通信環境でした。

ヨーロッパ O2

イギリスの通信キャリアO2が発行するこちらのプリペイドSIMは、ヨーロッパ全域で利用ができます。ドイツ、フランス、スペインで利用してみましたが、ドイツでは登録時間から24時間ごとに接続が途切れて再起動が必要で、スペインも田園地帯などはかなり電波が途切れてしまいがちでしたが基本的には問題なく利用ができました。接続できなくなったときは設定を再入力するなど少しコツが必要だったので、コンピューターが苦手な人はちょっと困ることがあるかもしれないなと思いました。

ヨーロッパ Tree

これもイギリスのキャリアTreeのものです。価格が安いのが魅力ですが、12GBでは2週間は余裕ですが1ヶ月間利用するにはやや容量が不足してしまいました。

こちらはドイツ、スペイン、ポルトガル、フランス、イタリア、オーストリアで利用しましたが、基本的に国境超えの接続先の切り替わりでも接続不良になることはなくかなり使い勝手が良かったです。ただポルトガルだけはやはり1日おきの再接続で少し手間がかかりました。

SIMの設定方法

SIMカードが自宅に届いたら、中に設定方法が記載された紙が入っているかと思います。キャリアによって設定項目は微妙に異なりますが、概ねの手順は下記の通りです。

【出国前】SIMカードのアクティベート

カスタマーサポートのメールアドレスに①SIMカードのYour SIM Number ②開通日(利用開始日) ③Amazon等の注文番号 を送付 > 折り返しアクティベートの連絡を受ける

即日対応してくれるので、出国の2日前くらいまでで間に合いそうかなという印象です。電話でのサポート等もありますが、いずれにせよ出国前に忘れずにやっておきましょう。

【到着前】SIMカードの入れ替え

購入したSIMカードと一緒に入って送られてきたピンを利用して(裁縫針などで代用は可能)携帯側面のSIMカードポケットを開いてSIMカードを入れ替えます。*飛行機のシートベルト着用サインが消えた安定運行中にSIMカードを入れ替えるのがおすすめです。

【到着後】端末設定

SIMカードを入力したら、ネットワーク通信設定で、APN、ユーザー名、パスワード等、開通方法の指示書にある通りに入力し、モバイルデータ通信とローミングをオンにして端末を再起動します。飛行機が着陸し、電波発信の許可のアナウンスを受けてから降機までのタイミングを利用すれば、入国審査前に現地での通信が可能になると思います。

現地で格安SIMを調達する方法

事前にプリペイドSIMを確保しておくのが安心ではあるものの、実は空港の出国ゲート付近には現地の携帯キャリアがSIMカードの販売所を用意しているので、現地調達するというのも有力な選択肢です。

例えばタイのバンコクの場合、荷物受取りゲート付近に複数のキャリアが出店しています。滞在期間を伝えるとおすすめのプランを紹介してくれ、ものの数分で設定してくれます。優先的に荷物が出てくるビジネスクラス利用であっても荷物が出てくるまでに手続きが終了してしまいますね。

スワンナプーム空港のSIMカード出張所

ちなみについ先日の滞在では2週間4Mbpsの使い放題でわずか700バーツ(約2500円)弱でした。

ただし、現地調達の場合はその国だけで利用するというのが前提です。僕のように長期間複数の国を周遊するようなケースでは、それに対応できるSIMカードを事前手配しておくのが確実です。

SIMを利用する時の注意事項

元のSIMカードをなくさないように

SIMカードは携帯の交換時に連絡先リストなどのデータを移動できるようにそれらのデータを記録する領域があります。そのため、もし取り外したSIMカードを紛失してしまった場合には帰国後に携帯が使えなくなるばかりか、そういった個人情報が流出してしまうリスクがあります。しっかり紛失しないように収納しておきましょう。

SIMロック解除を忘れずに

前述した通り、日本のキャリア(ドコモ、au、ソフトバンク、楽天)でスマホを契約した場合、基本的に他のキャリアでの利用ができないような設定がされてしまっています。これをSIMロックと言いますが、その状態のままではSIMカードを取り替えてもそのスマホを利用することができません。このSIMロック状態を解除する手続きを必ず事前に行っておきましょう。

プラン選択(ギガ不足)に注意

SIMの購入時には、ご自身の利用方法に応じて利用できる通信量をしっかり見定める必要があります。現地で不足分を追加購入することは可能ではあるのですが、そのために貴重な旅行の時間を使ってしまうのはもったいないです。

後述する複数国周遊が可能なSIMの場合には、追加購入のために通信キャリアがある国(イギリス)の住所が求められるので、実質的に通信量の追加ができないということもあります。

海外SIMの通信量は安いのでなるべく容量が多めのものを選んでおくのが確実かなと思います。個人的には1日1GBくらいみておけば、動画をずっと再生したりしなければ、一日中Googleマップやネット検索を使い続けてもまず不足はしないかなという感覚ですかね。

まとめ

海外でのSIMカード交換利用のやり方を覚えてから、格段に国外でのネット事情が改善しました。以前はなるべく通信費を抑えるように地図アプリをオフライン化したり事前に情報収集して記憶を頼りに歩き回ったりして、かなりの時間ロスをしていたように思います。

しかし、今では国内と同じ感覚でスマホが利用できて、ほぼ道に迷ったり、情報不足で困ることはなくなりました。冒険気分でスマホを閉じて歩き回るような旅も楽しいとは思いますが、限られた旅の時間をなるべく効率的に使うにはやはり通信環境を整えておくのは大事かなと思います。

そのためにこの記事が参考になれば幸いです。

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