今回はシェムリアップの見所を1日で巡った現地ガイドツアーをダイジェストでご紹介してみようと思います。
アンコールワットをはじめとする遺跡群で有名なカンボジアのシェムリアップですが、この街の周囲には有名どころだけでも多くの遺跡が散在しています。
どれも歴史的背景が面白いので、遺跡巡りをする際はガイドをつけてそれぞれゆっくりと説明を聞きながら巡るのがオススメです。歴史を知ると、ただの石の廃墟がみるみる色彩を帯びて見えてきます。
ここは世界的な観光地だけあって、英語はもとより日本語のガイドも充実しており、現在500名程の日本語ガイドがいるということです。
しかしGWや夏休みともなればそれだけの数のガイドがいても不足するということで事前予約は必須です。いかに人気の観光地であるかが分かりますね。ちなみにガイドの人数の多さでは日本語は4番目だそうです。
なお、僕はネットで見つけた個人ガイドのツアーで巡り、チップ込みで200ドル支払いましたが、探せば50ドルくらいでも同じルートのツアーは見つかるので、空きさえあれば安いもので十分なんじゃないかと思います。
ガイドさん曰く、学校の先生の月給が250ドル程度だそうで、月の生活費は300ドルくらいで生活できるレベルだと言っていたのでかなり割のいい仕事ですね。
ガイドさんの日本語は相当に上手でしたが、日本に留学経験などはなく現地の日本語学校で覚えたということですごいなと思いました。あと公認のガイドさんは皆一様に同じ格好をしているので一目でガイドだとわかります。
目次
アンコール・ワット
アンコール・ワット入場券売り場
アンコールワットを始めシェムリアップ近郊の遺跡に入るには、入場券(アンコール・パス)を事前に入手する必要があります。
早朝から開いているこちらの販売所に立ち寄って購入しますが、まだ5時半頃ですが見ての通り結構人がいます。いかに日の出目当ての人が多いか伺い知れますね。
その場で顔写真を撮られ、写真付きの紙のチケットをその場で発行してもらえます。事前入手もできるようですが、乾季の最も客が多い時期でも列に並ぶのも含めて5分程で終わったので、当日の購入で問題ないかなと思います。
チケットは1日券、3日券、7日券と期日によって並ぶ列が違うようなのでガイドさんと一緒に行かない場合はご注意ください。
アンコールワットの日の出鑑賞
朝の5時台ですが、すでに日の出鑑賞に向かう車で大渋滞です。周りは真っ暗で何も見えない中、ただゆっくりと進む車の中で到着を待ちます。途中で一度チケットを見せるタイミングがあったと思います。
駐車場とは言えない道の端に車が停められ、暗闇の中、駐車された場所から足元を照らすガイドさんたちのライトを目印に遺跡に向かいます。どこをどう歩いているのか全くわからない真っ暗な世界です。途中、掘りを渡る際に先ほど受け取ったチケットを係員に見せます。
象の門(その名の通り、象に乗って通るために作られたという門)を通り抜け、いよいよアンコールワットの敷地に入ります。
幻想的な景色です。これはやはり一生に一度は見ておきたい。
という人の群れで大混雑ではありますが。。。
乾季は蓮乗の池の水量が激減するとのことで、このホースで給水しているという話でした。言われなければ気づかないですが、気づいてしまうとちょっと興ざめです。
アンコールワットの内部探索
6時過ぎ、明るくなった頃に朝日鑑賞で池前に陣取っていた人々が徐々にアンコールワットの回廊に向かい始めます。僕も6時半にガイドさんと合流して中へ。
第1回廊は壁面に見事な彫刻が彫られています。戦のシーンが多く描かれていますが、メインはヒンズー教の天地創世の物語である、神と悪魔が蛇で綱引きをして亀を回すというモチーフの絵です。
このモチーフはバンコクのスワンナプーム国際空港のパスポートコントロールの前にあるでっかいオブジェと同じものですね。他の遺跡でもこのモチーフはやたらと見かけますが、世界創生のシーンだというのは初めて知りました。
そして、この回廊に射し込む早朝の朝陽が、まるで燃え盛る炎のようでとても印象的でした。昔の人はそれこそこの天地創造の世界をリアルに思い浮かべたのではないでしょうか。早起きしてよかったと思えた瞬間です。
この写真の回廊は天井が修復されていますが、他のところはむき出しのままだったりするのでそういった違いも見所です。
第1回廊を出て、第2回廊へ向かいます。元々の遺跡の階段は非常に急に作られていて危険なので、観光客用に木製の階段が組まれています。
回廊の間にはこのように大きな広場があります。この日は第3回廊に登ることのできない仏教の日ということでしたので、入れたのは第2回廊まででした。
登れなかった第3回廊はこちら。でかいので広角レンズが必要です。
ここは沐浴場ということです。人を避けて撮ったのでサイズ感が分かりづらいですが、水を満杯に貯めると2mくらいの深さだと思います。相当な人数が入れそうですが、これと同じサイズの浴場が王の間に続く通路横に4つ存在します。
ここで沐浴が行われている姿を想像すると、当時、ここを訪れた森本さんという日本人が天竺と間違えたという逸話もうなづけます。ガイドブックにも載っているこの方が書いたという落書きもでっかく残っていました。
4つの沐浴場の中間地点真上の天井です。このあたりで占いをやっておりましたので興味のある方はどうぞ。
これは上の写真の下で撮った写真ですかね。王の間に続く一本道です。この道はずっとはるかアンコールワットの外までまっすぐに続きます。回廊の柱は足元に仏のレリーフが彫られているのですが、見ての通りほとんどの柱がかなり削られておりました。劣化によるものなのかなんらか意味があるのか今更ながら気になります。
第二回廊の外、向こうに見えるのは図書館だったという建物。これと同じような建物がこの後の遺跡でも必ず見つかります。きっと多くの経典が収められていたんでしょうね。
ここでは階段がどこも凄まじく急に作られており、きっと何人も転落死しているだろうと思いますが、これは神様に失礼のないように自然と頭が下がるようにしてあるのだとか。
最初見たときは戦時に駆け上がって攻めづらくしているのかな?とか思いましたが、そういった実用上の理由ではないところも面白いなと思いました。
アンコールワット内の参道を歩いて出る途中、いい撮影スポットがあるからということでガイドさんに誘われ撮った写真がこちら。ちょうど3本の塔が区切られて見えます。
遺跡の外にアンコールバルーンが見えます。まん丸の風船に乗って上空から遺跡を見下ろせるそうです。あれと同じものが昔留学していたイギリスの街にもあって寮の窓からいつも見えていたんですが、風に煽られると相当揺れていたので、かなり怖いんじゃないかなと思います。乗ったことはないので推測ですけど。
この水上に浮かべられた橋を渡って堀の外へ出ます。早朝の出発から3時間程たちましたがまだ朝の8時すぎ。回廊内は1時間強歩き回った計算になります。
朝なので睡蓮が咲いているのも見ることができました。
朝陽が眩しかった。この公園の右手にはおみやげ物屋らしき屋台がたくさん並んでいます。
アンコールワットを見終わったら、一度ホテルに戻って朝食としばし休憩です。
アンコール・トム
朝食後、少しうとうとしてから再出発です。街中からはアンコールワットを超えてさらに少しだけ北上したところにある広大なエリアです。
かつて王様と僧侶たち権力者の住まいだったということで、この中には様々な遺構が残ります。堀に囲まれていて東西南北にゲートがありますが、街から行くときには南大門から入ることになると思います。
南大門の4頭像
ここが南大門です。トゥクトゥクが行き交っているのが堀にかかった橋なんですが、橋の両脇には例の天地創世の神々と悪魔の蛇の綱引きのモチーフがあります。かなりインパクトのある門です。門は車1台分の幅しかないので、ここは渋滞ができていました。
バイヨン寺院
森の中の道を抜け、アンコール・トムの中心に聳える遺跡がこちらのバイヨン寺院です。ここは仏教寺院です。南大門と同じく仏頭の塔がそびえ立つこれまたかなりのインパクトのある遺跡です。
遺跡の外壁には戦争をモチーフとした絵が全面に描かれています。繊細に描かれており、細かく丁寧に見て回るのも楽しいと思います。こちらの写真は左の船で耳にピアス穴が空いているのがカンボジア人、右の船の長髪の戦士たちがベトナム人だそうです。船から落ちてワニに食われる人たちの下は従軍している食事を作る人々の絵が描かれています。コミカルな表現もあちこちに見られ、大量に写真を載せたくなるのですが、キリがないのでやめておきます。ぜひ、現地で見てください!
外のレリーフを堪能したら中へ進みましょう。仏塔だらけの建物でフォトジェニックスポットがたくさんあります。塔の中心部では仏教のお祈りがされていました。
日本の国旗が掲示されていますが、この遺跡の復興には日本が資金援助しているということです。ぜひこういう事業にはどしどし資金を流していただきたいと思います。
アンコール・トム内部のその他寺院など
バイヨン寺院を見た後は、東側にある勝利の門を抜けて次の目的地であるタ・プロームに向かいましたが、その途中でもいくつか遺跡を見かけました。車で通り過ぎただけですが、それぞれ見て回っても楽しいと思います。
勝利の門の南側には死者の門という門があり、この二つは戦争から帰るときに勝ったか負けたかでどちらを通って帰ってくるかで使い分けたそうです。今は死者の門の方は寂れているという話でした。
象のテラス
バイヨン寺院から少し北上したところにある、その名の通り象のモチーフが彫られた遺跡です。子供達が喜びそうですね。ここも結構大きいです。ここから少し東に行くと公衆トイレがあります。とても清潔でしたので、安心して利用できると思います。
クリアン
この塔は王様の後宮だったそうで、12の王妃の居所だったそうです。祭りの際にここに並ぶ塔の間を踊り子たちに綱渡りをさせて楽しんだということでした。
タ・プローム遺跡
アンコールトムからほど近くにある遺跡です。ここは樹木に押しつぶされてしまったことで有名な遺跡ですね。成長力の強いガジュマルの木が鳥のフンに交ざって屋根に落ち、それが成長して上から建物を取り囲み潰してしまっているという非常に興味深い遺跡です。
バイヨンと同じく仏教寺院ですが、残念ながら戦争に破れて仏像はほとんど破壊されてしまっております。
木に包まれた仏像がいるんですが分かりますかね。ちょうどこの写真の真ん中です。これはかなり小さいので知らないと絶対に見落とすと思います。
お昼休憩のレストラン
お昼休憩は、スラ・スランという人工池の前に並ぶレストランの一角でいただきました。この辺りに色々レストランが並んでいるようです。この国では法的に飲酒運転可能ということですが、運転される方は飲まないことをお勧めしておきます。
僕が案内されたのはKhmer village restaurantでした。
お昼は軽くビールを飲みつつ、アモックをいただきました。優しい味のカレーです。具材は魚か鶏肉が選べます。ココナッツの容器に入って出てきましたがなかなか美味でした。
ベンメリア遺跡
食後、1時間以上の道のりを飛ばして郊外のベンメリア遺跡に向かいます。こちらはラピュタのようだということで有名な遺跡です。
この遺跡の入場券はこの建物で購入することになります。遺跡への途中ですが、遺跡からはちょっと離れているので注意。Googleマップには、チケット売り場と表示があるので、自力で行く場合はチェックしておきましょう。
遺跡の周りの堀は完全に草原と化しておりました。
遺跡までしばし歩きます。
ほぼ廃墟なんですが、順路が用意されているので、この道に沿っていけば迷わず一通り見て回ることができます。
この遺跡はアンコールワットと非常に似た構造を見かけることに気づきますが、アンコールワットの前に同じ王様が作ったものだということでした。しかし、当時の姿を今でもありありと残すアンコールワットとは違い、こちらの遺跡はほとんど原型を留めていません。
というのも、この遺跡はレリーフが彫られたのと同じ柔らかい石が土台にも使われていたために、重みに耐えられず崩壊してしまったということでした。
一方、こちらの遺跡で学んだ結果、アンコールワットでは土台にラテライトと呼ばれる岩石を使うことで強度を保っているということで、そんな建築技術の進歩の過程も想像しながら見て回ると面白いと思います。
ところどころにかつての面影が残る場所があります。ここはかつて会議室として使われていた場所だそうです。かなり暗いです。
途中、こんな場所を通らないといけないので足腰の弱い方はこちらの遺跡はあまりオススメできませんね。
見事に崩れています。窓に見える窓枠のデザインがアンコールワットで見たものと同じデザインなんですが、分かるでしょうか。苔がこびりついているのが分かると思うのですが、これが雨季になると鮮やかな色合いでそれもまた綺麗だそうです。この遺跡もぐるっと見回して1時間ほどでした。
以上、シェムリアップの遺跡観光1日ダイジェストでした。かなりはしょりましたがそれでも相当な分量になってしまいました。時間のある方はぜひ何日にも分けてじっくりと、お時間のない方はこのくらいは1日で回れますのでぜひ楽しんできてください。
正直、実際に行くまではそんなに期待していなかったんですが、行ってよかった世界遺産のトップランクに上がるだけのことはあると思いました。なお、乾季の時期だったからか、もちろん虫除けスプレーは振りまいていましたが1日を通して蚊に刺されることはありませんでした。