ビッグマック指数で見る世界のインフレ事情 2022

この記事を書いている2022年9月26日、日本でもビッグマックなどの値上げが報道されており、ヤフーニュースのトップページに記事が掲載されているのを見かけました。

いよいよ日本にもインフレの波がやってきた感がありますね。今年、3ヶ月かけて世界一周してきた前後でのスーパーに並ぶ品目の値段差に驚く日々ですが、この先しばらく値上げラッシュは続きそうです。

が、世界では長らくデフレが続いた日本とは比べ物にならないほどのインフレが猛威を振るっています。実感として、レストランでの食事に欧米では日本の2−3倍支払っている印象でした。

この記事では、そんな世界のインフレ事情をレポートすべく、2022年6〜8月の欧米のビッグマックの価格を調査してきましたのでまとめてみます。物価差を示す指標としてビッグマック指数というものがよく参照されますが、そのダイジェスト版のようにみて楽しんでいただければと思います。

旅人にとってのマクドナルド

ポルトのマクドナルド

わざわざ言及するまでもなくご存じマクドナルドは世界一店舗数の多い飲食チェーンです。マニュアル経営の元祖としても知られる通り、世界共通のメニューやサービスは旅人の強い味方です。観光都市に行くと歴史的建築に馴染んだデザインの店舗なども見かけますね。

安い、うまい、早いは正義

インフレが進む世界でも、やはりこのファストフードの王者は一般人が気軽に利用できる安価な評品を提供してくれています。どこの店舗に行ってもあるビッグマックは世界共通の味で、不慣れな土地でも確実に知った味に出会える安心感があります。

そして、なんと言っても商品の提供スピードが早いのが時間制限のある旅におけるメリットです。義務的にチップを支払う文化のあるアメリカでもめんどうなチップ計算をしなくてもよい手軽さもいいところです。

ドイツのビッグマックセット

標準化されたレギュレーション

日本でも多くの店舗で採用されるようになった電子掲示板でのメニュー選択や、順番待ちの表示パネル、ウーバーイーツなどでのデリバリー対応などなど、使われている機材の違いはあれども概ねオペレーションは世界共通で迷うことなく利用できます。

英語が苦手な人であっても躊躇することなく入ることができますね。マクドナルドに次ぐ店舗数のサブウェイなんかは日本語であっても商品の選び方がわかりづらかったりしますが、マクドナルドであれば、そんな心配は一切ありません。

コロナ規制がなくなってもマスク着用でのオペレーションが徹底されている国が多く、衛生面でも街中の店にいちかばちかで入るよりは安心感があります。(ただし、フランス、オーストリアなどの店舗ではマスクをしていない国もありました。ここは国民性が出ますね。フランスでは公共交通機関でもマスク着用義務はありませんでした。)

ビッグマックセット(レギュラーサイズ)の価格一覧

ハイデルベルクのマクドナルドのオーダーパネル

個別の分析をしていく前にデータを見ておきましょう。ここに掲載しているのは、2022年の6-8月に各国主要都市で実際に僕が現地のマクドナルドで確認してきた標準サイズのビッグマックセットの価格です。ビッグマック指数としては単品の価格が採用されていますが、普通はビッグマック単品のオーダーはしないでしょうから、あえてポテトとドリンクのレギュラーサイズのセット価格で比較してみました。

国名現地価格日本円換算
アメリカ$ 10.991483円($=135円)
フランス€ 9.61344円(€=140円)
ドイツ€ 8.491188円(€=140円)
オーストリア€ 8.101134円(€=140円)
イタリア€ 7.51050円(€=140円)
スペイン€ 7.251015円(€=140円)
シンガポールSGD 7.75775円(SGD=100円)
ポルトガル€ 5.4756円(€=140円)
日本¥ 690690円
タイ฿ 169643円(฿=3.8円)
マレーシアRM 15.0450円(RM=30円)
ビッグマックレギュラーミールセットの価格

円換算のレートは7月頃の標準的な値を採用しています。ちなみに9月末現在、米ドルは約143円、ユーロは約139円とついに逆転してしまっていますね。この歴史的ドル高はどこまで進むのでしょうか。

なお国によっては同国内でも地域によって微妙に価格差があったりするのであくまでも参考価格として参照ください(例えばバルセロナは7.25ユーロでしたが、地方都市だと6.9ユーロのところもありました)。

海外各地のインフレ状況

アメリカ

前章の一覧を見ての通り、やはりアメリカのインフレっぷりが群を抜いています。1500円も出せば東京ならそれなりの定食が食べられますよね。。

スイスや北欧諸国のリサーチ結果を入ればトップ圏は変わってくるとは思いますが、ドル高の影響もあってニューヨークなんかではファーストフード以外の店はおいそれと入れないびっくり価格になっていました。

体感としては主要都市での外食で支払う物価は日本の3倍くらいでしょうか。20%が目安とされる高騰するチップの支払いが地味に痛いです。はっきり言ってどこもサービスは日本とは比べものにならない低レベルなのでむしろサービス料分を返金してほしいくらいなのですが。。

NY One WorldのAll American Burger $32

ちなみに上の写真のハンバーガーはおよそ5000円ほどでしたので、比較すればやはりマクドナルドのリーズナブルさは際立ちますね。1ドル80円くらいになればまあまあ我慢できそうな水準な気がしますが、現在の国際情勢を見るとまだ円安に向かう余地がありそうなのが、コロナ後の日本人観光客のお財布に響きそうです。

ヨーロッパ

アメリカを経由してヨーロッパに向かうと物価安に感じてしまうギャップマジックがありましたが、実際のところ日本の1.5倍から2倍くらいという体感値です。

ロシアのウクライナ侵攻のリスクを避けて、西欧諸国を回った旅路でしたがビッグマック価格にも反映されているとおり、東高西低という物価トレンドを感じました。

コロナ規制をいち早く完全撤廃していた自由の国フランスが、むしろ物価高が一段と進んでいたのは面白い現象だなと思います。周辺国が公共交通機関でのマスク着用義務を継続する中、フランスを経由する電車では続々とマスクなしの乗客が搭乗してくるのがなんともいびつな印象を受けました。

ビッグマック価格が最安だった最西端の国ポルトガルは、大航海時代以降沈んだ国という印象がありますが、人々の生活水準が低いようには特に見えません。旅人としては日本とそれほど変わらない物価で、概ねサービスレベルも高くもちろん歴史的な観光地も豊富と旅先としてとても優秀な国です。そんな様子を見るとデフレ経済は必ずしも悪いとはいえないのかもしれません。

東南アジア

コロナ規制の撤廃へのトレンドが明確だった欧米と比べ、オミクロン株の発生以降、なんとも状況が読みづらかったアジア圏の国境移動はかなりリスクがありそうだったことに加え、そもそも世界一周航空チケットの席がほぼ空いていないという事情から、バンコクのみ経由する旅程を取りました。

結果的には欧米からやや遅れて7月頃にはアジア各国も国境解放が一気に進んだのですが、最悪、コロナ罹患での長期足止めを覚悟した旅程でした。ということで、アジアと書きつつ、この夏はバンコクの様子しか見ることができませんでした。。

ともあれ、タイのバンコクの街中の様子は、マスク着用義務などはないものの、現地の人は日本と同様にみんなマスクを着けて行動している様子が見られました。一方で街中で見かける欧米人でマスク着用者はほぼいないという状況。

国境でのPCR検査も不要になった欧米の観光客はもう世界中に飛び立っている様子で、コロナ前の喧騒がかなり戻っている印象でした。

そんなバンコクのビッグマックは、やはり少し進んだ円安バーツ高の影響で日本とほぼ同額の設定価格。屋台食やスーパーの価格はともかく、街中にある日本食などはもちろん日本よりも高いくらいですし、もはやアジア圏ですら日本旅行より高いという時代になりつつあるのかなと感じます。

※その後、マレーシアとシンガポールに行ってきたので、若干時期がずれますが情報を追記しておきます。

体感的にはやはりクアラルンプールも今や日常品についてはほとんど日本と変わらないかむしろやや高いくらいの価格設定なのですが、それでも食事に関しては格安のものが見つかるため、マック価格も格安でした。

一方、アジアのハブ拠点であるシンガポールは完全に日本を抜いてしまいましたね。マスクの着用率に関しては、マレーシアは4割くらい、シンガポールは1割強くらいかなという体感です。流入している欧米人の比率がかなり影響しているのかなと感じますね。

【スタアラ】世界一周航空券の発券方法(ファーストクラスで世界一周)

まとめ

ビッグマック価格をネタに記事を書いてみました。

日本入国のコロナ規制もなくなって海外旅行がしやすくなった今、なんとなく現在の欧米の物価感をイメージするのに役立ててもらえれば幸いです。とりあえずコロナ前の感覚で行くとお財布が寂しい状態になると思うので、物価高が進んでいることを覚悟しておきましょう。

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