ザハ・ハディッドといえば、日本では新国立競技場で一躍有名になったあの建築家さんですね。予算高騰の挙句、中途半端に削られて撤回された時のデザインはイマイチでしたが、当初案通りのデザインは個人的に結構好きでした。
今回取り上げるホテルはシルケン・プエルタ・アメリカ(※ 現在は ホテル・プエルタ・アメリカ・マドリード)というマドリードの5つ星ホテルで、建築不可能なデザインで有名なザハ・ハディッドがデザインした部屋があるというのを昔どこかの雑誌か何かで見て、ずっと行きたいと思っていたホテルでした。
目次
ホテルの場所(マドリード郊外)
場所はマドリードの北のはずれでちょっと交通の便が悪く、かつ治安悪そうな界隈(僕の勝手な印象ですけど)にあるので5つ星にもかかわらずかなりお安く泊まれます。なんでアメリカ?って思ったら、アメリカ通りに面しているからということのようです。
僕が訪れた時は、なにかのレセプションがあったようで、こちらの写真のようにチェックイン時に信じられないほど並ばされ、しかもろくに誘導もしないので抜かされて、と最初の印象が最悪で、この時はもう二度と行くかと思いました。。。
ただし、ここはザハさん以外にもいろんな建築家が階ごとにその人独自の世界観でデザインしているという非常に面白い試みがされているホテルで、他の部屋にも泊まってみたいという誘惑は残っていたりします。
こちらはホテルの入り口です。
ホテルにはザハデザインのスイートもありますが、スイートの部屋タイプは当日早い者勝ちで選べる仕組みということらしく、ザハルームを外したくなかったので、普通の部屋にしました。ザハフロアは1st フロア(つまり、2階です)。さて、前置きが長くなりましたが、そろそろ見ていきましょう。
ザハ・ハディッドフロア
エレベーターを出るといきなりザハの世界観全開です。この真っ白な洞窟のような空間に入った瞬間にレセプションでの怒りも吹っ飛びました。
この洞穴感。テンション上がリマス。
ザハ・ハディッドルーム
そしてお待ちかね。こちらがザハさんの部屋です。
全体が白のモルタルで塗り固められた流線型で、ドラゴンボールのナメック星の家を想起させます。(古いか)
ちなみに見た目は無機質な感じですが、床が全面絨毯で、なんというか、その、、ちょっと臭い。なんか臭い。獣臭いです。まあ、過ごせないほど不快ではないんですけれども。でもファブリーズしたい感じです。
角がなくてあらゆる場所が曲線です。全部白一色だと遠近感がなくなるんですね。思わぬところで頭ぶつけたりしました。居住性とかは全く無視しているんだろうなと思いますが、そこがいい!
シャワールーム、伝わるかわからないですが、めちゃくちゃ広いです。大人が寝転がれる広さ。
これ泳げるやん!と思って喜び勇んで水を貯めようとしましたが、水栓に隙があって微妙にしかたまらず、断念。多分溢れないようにわざとたまらなくしているような気がしました。(いや、建て付けが悪いだけかもしれませんが・・・)
バスタブ側から。全体にやはり角がない流線型。
一式まとめられたデザインで、トイレも。この辺りはこだわりを感じます。楽しい。
全くもって座り心地の良くない椅子。ひんやりして夏は気持ちいい。
右側のトロルの舌のような形のところは座ってみたりカバン置いたりして、なかなか使い勝手が良かったです。
閉じた状態。なのに、収納が丸見え。なんだこれ。楽しすぎる。子供があの隙間に入り込んで顔だして遊んでお母さんに怒られている様子が目に浮かびます。
白一色の世界で目覚めるっていうのは、なんだかものすごく気持ち良かったです。こういう目覚めはありだなと。上にも書きましたが、角がないので遠近感を失う感じ。雲の中で目覚めたのかと錯覚します。これだけを経験しに行くのもアリかもしれません。
このドアノブの持ち手はスペインだけにガウディを彷彿させます。考えすぎ?
そして注目は左のボタン。これを押すと下の写真のようになります。
ドアにライトアップで意思を主張できます。この手の仕掛けはたまに見ますがここまで主張してるのは他にないのでは。
わかりやすくするためにちょっと露出を明るくしていますが、廊下はこの写真よりもずっと暗いのでライトが映えます。微妙にうねっているのもこだわりでしょう。
フロア図からすると部屋数は28ですかね。まあ、ここはそんなに取りづらいってこともない気がします。冒頭のようなイベントがなければですが。
おまけ
すぐ近くには、こんな「昔の」未来的な建築物が建っています。普通に人が住んでいる様子でしたが、それなりに年季が入っていそうで、近づくとちょっと廃墟感がありました。
ちなみに最初、交通の便が悪いとか書きましたが、北に向かうバスが出ているバスターミナルには近いので、そちら方面に行く前日に泊まるには便利かもしれません。というか、僕もそのルートを使いました。スペイン北部、バスク地方の話はまたそのうち。