マルケス・デ・リスカル ぶどう畑とフランク・ゲーリー

ワインの産地として名高いスペイン北部のリオハ。その一角、エルシエゴという土地にあるマルケス・デ・リスカルというワイナリーには奇抜な外観のホテルが存在しています。

ホテルの周りはワイン畑が広がっており、電車やバスだけではたどり着けない立地。あれだけバラエティに富んだ観光地が各地にあるスペインで、わざわざこんな片田舎に行く酔狂な日本人はそんなにいない気がしますが、建築ファンにはおなじみの巨匠フランク・ゲーリーが手がけた唯一のホテルで、その唯一無二の外観によりSPGのフライヤーとかHPとかでもよく見かける目玉ホテルの一つで、実は知っている人は知っているホテルです。

マルケス・デ・リスカルのワインはスペイン王室の御用達ということもあり、空港の免税ショップや高級ホテルなどで見かけることがあるのでワイン好きな人にもお馴染みかもしれませんね。高級感のあるパッケージですが、意外にもワインの値段は比較的お安めです。

ホテルへのアクセス

このホテルに行くのは少々面倒で、遠距離バスまたは電車でログローニョという街に向かい、その鉄道駅からタクシーで20−30分ほどの道のりになります。

さすがワインの原産地だけあって、道すがらいろんなワイナリーが目に入って来ます。ホテルに頼めばビルバオやサン・セバスチャン空港までハイヤーで迎えに来てくれるそうですので、優雅に行かれる方はそれもいいかもしれません。むしろレンタカーを借りてのんびりドライブがきっと正解でしょう。でも間違いなくワインを飲み浸るので、飲酒運転にはご注意を。


はい、エントランスです。もういきなり圧倒されます。というか、来る途中のタクシーから見えているので、到着前からこの外観にテンションうなぎのぼりです。


Marques de Riscal
入り口の表札もカッコ良し。


到着した時にはチェックイン時間を過ぎていたのですが、部屋の準備がまだだということでワインを1杯サービスしてもらえました。


椅子の間でくしゃっとなっているのは、ゲーリー作のライトですね。たまにおしゃれカフェで見かけますが、このホテルのためにデザインされたものだそうですよ。正直、ブサイクです。間違って捨てられそうな風貌です。でもこれがいっぱい連なった筋斗雲(と勝手に僕が呼んでいる)タイプはなかなかカッコよかったりもします。

ゲーリー感たっぷりの屋根。近くで見ると結構無骨な感じで遠目に見た美しさは感じません。


上の写真の右手側です。ぶどうの木と教会とそして奥に移る山の岸壁。実に絵になります。これぞスペイン的景観。椅子に沈み込んでずっとぼんやりしていられます。


とか言ってたら雨です。山の天気は変わりやすいというやつでした。少し歩けば向こうの村落まで行けるのですが、降ったり止んだりでなかなか出かけづらい。


なお、例の外観の建物には客室はなく、フロントとレストラン、あとライブラリー(絶対行こうと思っていたのになぜか行き忘れてしまったので写真なし。。。)なんかがあります。客室エリアにはこの渡り廊下を渡って行くのですが。この写真は客室棟側からの写真。なお、雨が降るとここで屋根が途切れているので傘なしだとガン濡れします。チェックインした後はこの写真のすぐ左に階段があって、そこから外出することもできます。

エグゼクティブスイートの部屋

アサインされた部屋は本館から遠く離れたところでした。見取り図を見るとスイートでなくてもどの部屋も十分な広さがあると思います。


どうせホテルにしかいないだろうからということで部屋はスイートにしましたが、広すぎて落ち着かない。。

スイートと言いつつベッドルームとリビングルームは別れておらずいわゆるジュニアスイートのお部屋です。


こうやって灯っているところを見ると例のランプも悪くないです。


ウェルカムワインは言うまでもなくマルケス・デ・リスカル。


アメニティはこんな感じ。


シャワールームが広いです。


シャワールームの逆サイドにはもちろんバスタブあります。ぶどう畑を眺めながらのバスタイムに浸れます。


ちゃんと傘も用意されています。外出時はずっと持っていましたが、幸い使わなかったと思います。

部屋からの眺めです。こちらサイドもぶどう畑。ほんとにぶどう畑に囲まれたホテルです。ということで朝はちっちゃなトラクターでおじさんが手入れしてたりするのも見られますよ。それから、この写真の右側の客室棟の一番奥の1階にプールがあります。すごい洒落てるプールと、ジャグジーとかサウナもあったかな。謎の砂利石の上をぐるぐる歩くエリア(全く気持ちよくも楽しくもなかった)などなど、いろいろ充実していた気がします。完全にのんびりモードだったので写真は一切ございません。。

ホテルはワイナリーの中


ビルバオのグッゲンハイム美術館といい、このデザインは都会だからこそ映えるのだと思っていたのですが、実際は、これがワイン畑に実に馴染む。もうこれ以外に考えられないようなしっくり感です。(写真にはワイン畑はちょっとしか写ってないですが。)このホテルをフランク・ゲーリーにオーダーしたオーナーはセンス抜群だと思います。


もちろんワイナリーなので、すぐそばにこんな建屋もあります。ワイナリーツアーもやっているので、興味ある方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。僕も次に行くときは参加してみようと思っています。


これだけの空き瓶もなかなか目にする機会ないですよね。


ホテルの別サイド。無骨な顔つきです。

さらに街の方から見ると正面とはまた全然違った顔を見せてくれます。屋根に隠れた位置のガタガタの窓など、見どころたくさん。ぜひいろんなところから観察してください。

ワイン畑をサイクリング


敷地の外も見渡す限りぶどう畑。ホテルではマウンテンバイクとヘルメットを貸し出してもらえるので、ぜひ借りて散策してみましょう。


返却時間は、暗くなる前に返してくれればOKと言われたのですが、雲行きがあやしいのでせいぜいホテルが目に入るくらいの距離をひとっ走りして帰りました。晴れていて遠出できたらかなり爽快だと思います。車もそんなに通らないですし。


でもたまにトラクターがすごいスピードで走っているのに出くわします。なんだか必死感があって笑えます。

リストランテ「マルケスデリスカル」


夕食はもうホテルで食べるしかないですね。でも予約しにフロントに行ったら街のレストランを予約しましょうか?と言われたのでそういう選択肢もあるようです。長期滞在したらさすがに飽きますもんね。が、まあ、もちろんホテルで食べますとも。ここはミシュラン1つ星シェフがプロデュースしているらしいレストランです。奥の黄色い部屋のエリアの方はトラディショナル系のレストランだと聞いた気がします。


1品ずつは少ないので、ということですすめられるがままに一番多い18皿のコースにしました。最初に出てきたのがこの炭。ぶどうの木をスモークしたものですとか言われたんですが、マジで!?と思って食べたらスモークチーズでした。まんまと騙された。そんな調子でウェイターさんたちが冗談交じりに楽しませながら給仕してくれます。この後も不思議系料理が続きます。


ワインはもちろんマルケス・デ・リスカル。フルボディをいただきました。そういえばソムリエさんが富士山に行くんだと言ってましたが、彼は無事行けたんでしょうか。

ホテルからの夜景


暗くなる前に食べ終わって撮影に行こうと思っていたら、さすが18品、3時間の長丁場でまんまとゴールデンアワーを逃しそうだったので、途中で中座してレストラン奥のベランダから何枚か写真を撮っておきました。

思った通り素晴らしい景色です。が、ちゃんと三脚使って撮りたかった。右下の青いところは青空が反射しているゲーリー屋根です。

この日が沈む時間をテラス席でワイン飲みながら過ごせれば最高ですが、夏でもちょっと寒いので3時間もいたら風邪ひきます。テラスで食前酒からの、日が沈んでから夕食という段取りがオススメになるでしょうか。

ワインバー


フロント奥のカフェ&バーは、こんな風にワインボトルが壁一面に敷き詰められていて見応えがあります。


なんとなく頼んでみたテンダーロインバーガー。思ったのと違う形で出てきましたが、これが絶品でした。こんなにうまいハンバーガー初めて食った!と旅の記録に残っています。

このホテルの滞在後、サンセバスチャンに向かいましたが、事前に行き方をリサーチしていなかったのでホテルのフロントでバスの時刻やら何やらを調べてもらいました。それ以外も総じて気持ちのいい対応をしてもらえたこともあり、勧められるがままにSPGのメンバーシップに入会してしまいました。今やSPGにはレイトチェックアウトやら何やらで随分お世話になっていますが、それまではなるべくこの手のメンバーシップには入らないようにしていたので(ポイントは大体失効して嫌な思いをするし、無駄遣いの元なので)、そういった縁も含めて満足な滞在でした。ここもきっとまた訪れるであろうホテルの一つです。

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