ドイツ東方にあり、かつて精密時計生産の先駆けともなったザクセン王国の首都でもあったドレスデンですが、ここは世界最古とも言われるクリスマスマーケットが現在も大規模に行われており、世界中からの観光客を魅了しています。
また、この地にある絵画館では、希少なフェルメールの絵を2枚も見ることができ、さらには第二次世界大戦でも無事破損しなかった陶磁器の王様、マイセンの壁画がある旧市街は東欧らしい黒々とした荘厳な建築が残り、さらにさらにエウベ川の湖畔はドナウの真珠と呼ばれるほど美しい姿を見せてくれるなどなど、見所が目白押しです。
しかもこの街のいいところはこれだけ見所たくさんにも関わらず十分に徒歩で観光できてしまうところでしょう。
さらに、少し足を伸ばせば陶磁器の里マイセンや高級時計のメッカ、グラスヒュッテなども近くにあり、チェコのプラハなどもドイツ内の他の都市に行く感覚で行けてしまいます。
ということで、ヨーロッパ旅行、とりわけドイツ周辺に行く際には何としても旅程に組み込んでおきたい土地ですが、今回はそんなドレスデンにあるマリオット系列の5つ星ホテル、ゲヴァントハウスの滞在と周辺の散策記事を書いてみようと思います。
目次
ゲヴァントハウス・ドレスデン、オートグラフ コレクションに滞在
地図上、ホテルの西側にある最も大きいクリスマスマーケット会場であるAltmarktまで徒歩5分ほどの立地のホテルです。マリオット系列のオートグラフコレクションブランドの一つで、ドレスデンの数少ない5つ星ホテル。ドレスデン中央駅からは少し距離があるので、トラムかタクシーがおすすめです。
こちらがホテルの入り口です。
フロント前のラウンジは小洒落ています。
ホテル内中央はガラス天井になっていて、寒い冬場でも短い日照時間をここで堪能できますね。
写真の奥のエレベーターから地下のプールにアクセスできます。後ろ側はレストラン。クリスマスの夜は予約で一杯になるので(なんなら町中のレストランが予約で一杯になります)、レストランは必ず事前に予約しておきましょう。
スーペリアクイーンルーム
見取り図
宿泊したのは一番広い部屋タイプでした。部屋へはエレベーターをおりて長い廊下を抜けて行きます。
最上階の4階(日本の5階)でしたので廊下の天井が屋根の形に斜めっていました。つい首を傾げてしまいます。
廊下の窓から覗き込むと内側に傾斜した鋭角な屋根と建物中央のガラス屋根が見えます。
リビングルーム
部屋の様子がこちら。東欧風のベッドメイクですね。
別アングルから。やはり天井が屋根の形に沿うのでやや手狭感を感じますが、これはこれで良いと思います。
冬場は最高気温も氷点下になる地域ですから、部屋の窓も小さめです。暖房はしっかり、部屋の中は極寒の外とは別世界で、凍えた体が生き返ります。
窓からの景色。これを撮ったのは朝だったかな。冬場はあまり天気がよくないみたいです。3日間の滞在中ほとんど晴れ間は見られなかったのは残念。ドレスデンは、昔、夏場に行った時も雨が降って寒かった記憶があります。
ジャグジー付きのバスルーム
洗面所の様子です。ひと昔前のデザインセンスですね(悪い意味ではなく)。
人が寝れてしまうサイズのバスタブには、ジャグジーがついていました。使い方が分かりづらかったですが、一定量の水量まで入れればちゃんとぶくぶく泡が出ます。外気が冷たいので、ジャグジーの泡も冷たいので、冬場はちょっと熱めに入れると良い感じではないかと。
そこそこ広いバスルームでした。便器がえらく小さく見えます。
アメニティに歯ブラシはないので必ず持参しましょう。
クリスマスプレゼント
クリスマスの夜にはちょっとしたプレゼントが置かれていましたよ。
ホテルの朝食
そんなに大きなホテルではないので、レストラン会場もほどほどのサイズ感。しばらく連泊していたので、給仕のお姉さんと仲良くなって、早朝から散策して帰ってきてそのまま朝食会場にやってくると、今日はどうだった?なんてコミュニケーションも生まれます。
正直、朝食の品揃えは期待してなかったんですが意外と充実しておりました。連日、メニューも微妙に変化していて飽きません。ドイツですから、特に腸詰め肉が種類豊富で楽しめます。シャンパンもありましたので、サラミやソーセージをつまみに朝からアルコールをという方も満足できるでしょう。
サンタクロースに扮したゆで卵たち。可愛い。
プール&ジムエリア
もちろんジムやプールもあります。ちょっと歪な形のプールなのでがっつりは泳ぎづらいですが、雰囲気は悪くない。
ドレスデン旧市街探索
さて、ここからはドレスデンの見所を紹介していきます。中央駅周辺などはショッピングモールもかなり充実していますので、ショッピングも楽しめるとは思いますが、ぜひ歴史ある東欧の古都の旧市街に繰り出しましょう。
世界最古のクリスマスマーケットへ
ここ数年、日本でも都心では開催されるようになってきたクリスマスマーケットですが、本場ドイツでは11月末頃に始まり、最終日は12/25の14時頃までやっているのが主流ですので基本的に24日までに行くようにしたいです(ベルリンなどでは年末までやっている会場も一部あるようですが)。なかなか日本のサラリーマンだと師走の折、正月前で休みづらいタイミングではありますが、機会があればぜひ一度は訪れていただきたい。
最大の会場、アルトマルクト広場
街の至る所にマーケットが開かれていますが、一番目玉の会場は、ブログ冒頭でも述べた通り、Altmarktという街の中心部にある広場です。ホテルからほんの5分ほどで行けてしまうので、準備中の朝や、屋台が閉まってしまった夜にふらっと散歩にも立ち寄れてしまいます。
こちらがその会場の様子。屋台が所狭しと並びます。奥に見えるのは福音教会。日曜のミサに訪れて現地の方達と一緒に賛美歌を歌う(ふり)をしてきました。マーケットは昼前からちらほらと屋台が開き始め、夜9時頃までやっていました。
巨大シュトーレンもお目見え
そしてドレスデンのクリスマスマーケットの目玉は、なんと言ってもシュトーレン。ドレスデン発祥の長期保存ができるケーキの一種で最近では日本でも見かけるようになってきましたが、これが街のいろんなところでお土産として売っています。上の写真は去年NHKで偶然見かけた世界最大のシュトーレンが焼きあがったというニュースを撮ったものです。3000キロもの重量があるそうで、早いタイミングで行けたらぜひこれも食べてみたいですね。
会場の端には、シュトーレンの焼き釜がありました。いい匂いが漂います。
屋台はもちろん街中いろんなところでシュトーレン購入できます。結構いいお値段しますが、大量に買い込む奥様方をよく見かけました。
冷えた体に染み渡るホットワイン(グリューヴァイン)
そしてそして、やっぱりクリスマスマーケットと言えばホットワインですね。かぶれてグリューヴァインとオーダーしてみましょう。写真は赤ワインですが、白もあります。お値段はカップ代込みで5(6かも)ドルだったかと。ドイツでは屋台でドリンクを頼むとカップ代が含まれていて、飲み終わってカップを返却するとその分が返ってくるという仕組みになっていますので、返却せずにカップをお土産にすることができます。
ということでうちにはいくつかドイツビールの陶器なんかが台所に並んでいるんですが、絶対持って帰ろうと思っていたこのカップ、ホテルの洗面台で歯磨きに使ってそのまま置き忘れて帰ってきてしまいました。悲しい。またいつかもらいに行こうと思います。。
エルベ川ブリュールのテラス沿いのマーケット
適当に歩けば、街中のいろんなところで小さなマーケットに出くわします。屋台の内容は似たり寄ったりなので、アルクマルクトだけで十分、わざわざ他を探すまでもないのですが、屋台の飾りはそれぞれに個性があるので色々見て回ると楽しいかも。この写真の場所は下で紹介するエルベ川沿いのテラスからアクセスできる会場です。
ドナウの真珠 エルベ川の夜景
鉄板の川沿いのテラスです。ホテルからは北上し、公園から西に向かって歩くのがおすすめです。ちなみに公園の南のAlbertinumという美術館もオススメです。遊歩道に向かう途中でぜひ訪れてみてください。
この遊歩道をのんびり歩くのはとても贅沢ですが、やはり冬場は寒いので夏に行きたいですね。ともあれ写真を何枚か載せておきます。
雨は嫌ですが、濡れた石畳は絵になります。ただ、凍えながらの撮影なのでだいたいブレブレになるのが。。。
対岸にもいくつか建築物が見えます。移動遊園地も目に入りました。移動遊園地ってなんだって感じですが、ヨーロッパでは遊園地が常設ではなく、ある時期だけ街にやってくるというビジネスがあります。僕が昔住んでいたイギリスの街でも夏場だけビーチサイドにいろんなアトラクションが集まっていました。ドイツでもこの手の遊園地をよく見かけます。特にオクトーバーフェストの時期は、会場周りにはいろんな遊興具ができて賑わいますね。
テラスを奥まで歩くと、旧市街部にたどり着きます。同じヨーロッパでも西の方とは違う黒い風貌の重々しい感じがこれまた楽しいです。
こちらは朝の様子。人の目の感覚に近づけるためちょっと画像いじってますが、多分普通のカメラで撮るとこの建物たちはもっと黒々した感じに写ってしまうと思います。なおこの写真の左手に下で紹介するマイセンの壁画があります。奥の道を行けば、ドレスデン城を通り、ツヴィンガー宮殿などの広場に出ます。
陶磁器マイセンの壁画
ここもまた世界的な名所の一つですね。全てマイセンでできているという壁画。第二次大戦時にも運よく破壊されずに残ったというこの壁画はなかなかの迫力があります。昼間は観光客でごった返すこの通りも、早朝であればこの通り独り占めできてしまいますので、ぜひ早起きして(と言いつつ明るいのですでに9時くらいですが)行ってみてください。
ライトアップされていますので、夜に行っても大丈夫です。
聖母教会と野外クリスマスコンサート
ドレスデンの旧跡で外せない象徴的な建物がこちら。第二次大戦で崩壊したものの、その瓦礫を集めて再建されたという教会です。この教会の復興に当たっては、建築CADではなく航空機業界や自動車業界などで使われる3DCADツールのCATIAが使われたというのが興味深い。クリスマスには、教会の前でコンサートが開かれ、夜には大勢の人でいっぱいになっていました。教会の内部がコンサート出演者の控え室になっていたようでした。
ツヴィンガー宮殿と絵画館
ゼンパー・オーパー(州立歌劇場)
オペラ、バレエ、コンサートが見たい方はこちらへどうぞ。
ツヴィンガー宮殿
この宮殿内部の広場はとても広くて清々しいです。この写真に写っているのはほんの一角、4分の1くらいです。朝からツアー客らしき集団が来ていたので、ぜひなるべく早起きして独り占めしに行ってください。この広場を囲む宮殿内部には後でご紹介する絵画館や陶磁器のコレクションなどが入っています。
宮殿の外、アルテマイスターの入り口付近でピアノの演奏がされていました。この寒いのにすごい。ドイツでは街角でクラシックの演奏をとてもよく見かけますね。
アルテ・マイスター絵画館
宮殿の一角にアルテマイスター絵画館があります。開場直前には少し人だかりができていましたが、ルーブルやウフィッツィ、あるいは日本の美術館とは違って並ぶというほど並ばずに入れると思います。
いくつか有名な作品がありますが、一番は肘をついた天使で有名なラファエロの『システィーナの聖母』ですかね。
そしてここにはフェルメールの『取り持ち女』と『窓辺で手紙を読む女』の2枚が収容されています。この2枚は昨年末〜今年の頭にかけてやっていたフェルメール展で来日していましたが、大混雑で正面で見るのは至難の技でした。しかし、ここでは独占して心ゆくまで堪能できてしまいます。
ドレスデン中央駅
歩くと少し距離がある(15分から20分程度)中央駅はそこそこの大きさで重厚な外観が絵になります。上の写真で少し見えていますが、駅舎の中に大きなクリスマスツリーが飾られていましたので、ぜひクリスマスシーズンに訪れる際は見てください。
以上、まだまだ見所は尽きないですが、まずは押さえておきたい名所をご紹介しました。ぜひ旅行の参考にしていただければ嬉しいです。