もう迷わないベネチア本島への入り方(陸路と空路を解説)

僕が2年に1度ベネチアビエンナーレに訪れ、このブログでも度々取り上げるベネチアですが、たまにはお役立ち記事を書いてみようと思います。

ビエンナーレの開催地でもあり、今や世界的観光地であるベネチア本島は、車が通れる道などなく(というか車は入れません)、流れる運河によって水の淀みを防ぐように作られた人口島で、島内の移動はもっぱら船。そして、陸地を歩けば至る所で運河の行き止まりにぶち当たり、さながら迷路のような作りの街。そしてどこをどう切り取っても絵になるという旅好きでなくとも一生に一度は行っておきたい1000年の古都です。

そんなベネチアへのアクセス方法をここでは写真と共に紹介します。

この島への移動方法はいくつかあるのですが、この記事では空路(飛行機)と陸路(電車)でのルートを解説しています。日々往来する豪華客船での入島や長距離バスなどでの入り方はやや異なりますが、入島後の水上バスのチケットの買い方などは参考にできると思いますので、ベネチア旅の前にご一読ください。

空路からの入り方 マルコ・ポーロ空港

ベネチア本島の北北東7kmほどの距離にある通称マルコ・ポーロ空港、正式名称はヴェネツィア・テッセラ空港(空港コードはVCE)へ向かう飛行機に乗ると、最終アプローチで右手にベネチアのラグーンが目に入ります。窓際で景色を見たい方は必ず右側の席を選びましょう。

到着に向けた最終アプローチのアナウンスが入る頃、右手には海に流れ込む川が目に入ってきます。上の写真画面中央、入江を挟んで奥側の半島のように見える島のあたりがキオッジャです。かつてベネチア共和国と海の覇権を争ったジェノバ共和国がベネチアに乗り込んで来た際に、その軍隊を足止めして戦った地です。

キオッジャが見えると間もなく手前の潟と共に、海を挟んで奥には長細いリド島が目に入って来ます。ベネチアの島々で唯一車が走り、ビーチもある島です。かのヴェネツィア国際映画祭が開催される島でもあります。あまり綺麗なビーチではないですが、夏場は人で一杯になります。

そして到着直前には、いよいよベネチア本島が見えます。わずかこのサイズの人口5万人の土地に年間3000万人が訪れるという世界屈指の観光都市の一つ。かつて船で訪れて海の都と呼ぶに相応しいと語った塩野七生の言葉通り(海の都の物語 プロローグにて)、空の上から見てもやはり海の上にたゆたう都市なのであると感じます。

日々出ては入っていく巨大客船が停泊する姿と共に現れるこの都市の姿は、一大レジャーランドのようにも見え、そうイメージしてみると街中至るところで見かけるゴンドラの遊泳する様がさながらアトラクションそのものであると想像が膨らみます。いや、事実、ここは人々の生活圏に作られた夢の国そのものかもしれない。なんて思う間もなく空港に到着です。

到着後、荷物のレーン横に船のチケット販売機があるので、水上タクシーを使わず荷物が出て来ずに時間が余っているならここで買うのもありです。しかし、この先に買うチャンスは二回訪れるので、わざわざ並んでまで買う必要はありません。見ての通り、水上バスは2社あり、微妙に時間とルートが違うので、なるべく早く行きたい方は全てすっ飛ばして乗り場まで行ってから早い方のチケットを買うのがおすすめですが、結構本数ありますのでそんなに気にしなくても大丈夫です。

なお、レーン脇にはATMもありますのでここでお金はおろしておきましょう。ゲートを出てからもありますが、荷物がレーンに届くまでに十分におろす時間があると思います。ベネチア本島に入ってしまうと、ブティック街あたりまで行かないとATMが見つからないので結構困ることになります。大概クレジットでなんとかなりますが、とはいえまだ現金オンリーの店もありますので。

僕は初訪問時、どうせ街中にどこでもあるだろうと思って現金を下ろさずに行ってATMを探して島中を歩き回るという大ロスを演じたことがあります。お金は空港でおろすが鉄則です。(なお海外初心者の方、両替はどんなにレートがよくても勿体無いので必ずATMでクレジットでキャッシングするか海外で使えるキャッシュカードを使いましょう。)

水上ルート − 水上バス・タクシー

荷物を受け取って外に出ると、左手にこのチケット売り場がありますが、見ての通りここは並んでいる可能性大です。もし空いていればここで購入してもいいのですが、列ができていたらスルーしてしまっても全く問題ありません。到着階は一階ですが、船着き場に行くには二階(ヨーロッパ式1階)からです。外からでも行けますが、歩く歩道がなく、かなり大変です。

実は2017年にそれをやらかしました。以前はこの写真のビニールの囲いの下を汗だくになりながら船着き場までずっと歩かなければならなかったのですが、今やこのルートはありませんので、闇雲に歩き回った挙句、途方に暮れること請け合いです。

まあ、Googleマップなどに頼ればなんとかたどり着けるでしょうが、僕が記憶を頼りに歩いた2017年は、標識もなく、途中で途切れてしまったこのビニールの道の先、道なき道を歩いてやっとたどり着いた現在の姿(後述)の船着き場の姿とそこまでの2階の屋内ルートを見て、ショックを受けたのを覚えています。

そうならないように、船着き場の目印を探しましょう。水色のマークです。まあ、見つからなくても平気です。とにかくエレベーターで出発階に登ります。

1階(日本の2階)に来たら、飛行場を背にして”左側”にずっと歩いていきましょう。

昼の様子はこちら。網目の天井から射し込む日光が心地よい空間です。

ずっと歩いて、この水色のゲートに辿り着ければ正解です。あとは歩く歩道で悠々と。のんびり行っても10分ほど。急げば2、3分で船着き場です。

のんびり行くも急ぐもあなた次第です。

間もなくゴールです。大荷物の方、ベビーカーの方はエレベーターを使ってください。ですが、右手のエスカレーターで降りるのもおすすめです。

この通り、ドゥカーレ宮をあしらった壁と光るレールが否応なくベネチア到着の気分を盛り上げてくれます。

エスカレーターを降りると、船着き場に到着。画像右上の標識の通り、12&13の乗り場(一番奥です)で、ベネチア行きの水上バスに乗り込みます。乗り場の前にチケット売り場があるので、係の人に到着したいヴァポレットの駅を告げて2系統あるルートのどちらに行けばよいのかを教えてもらいましょう。

これがALILAGUNA社のチケット。どちらのルートを辿ったとしても、時間は1時から1時間半くらいかかると思っていればよいと思います。価格は19年夏時点で15ユーロ。この値段設定は13年から変わっていないように思います。

乗車時にも行き先を聞かれるので、目的地のヴァポレットの駅名は必ずチェックしておきましょう。発音は日本語読みのまんまで通じますし、向こうが言うのも聞き取れますのでご安心を。

出発ゲートから出入りする様子です。水上タクシーもここで発着します。

行き来する海上のルートが決まっている(目印の木の杭が目に入ると思います)ので、しょっちゅう他の船とすれ違います。見ての通りすれ違う際には結構な波が立つので、水上バスは他の船とすれ違う際にはかなりスピードを落として走っていきます。

なお、水上タクシーは有力な選択肢です。金額は、僕が乗った時はダニエリまで120ユーロでしたが、わずか30分足らずで行けます。時間を半減できてしまう上に直接目的地まで行けて楽チンなので家族連れであれば十分にペイするのではないかという気がします。

オンラインで水上タクシーのチケットはオンラインで買うこともできるようなので日本語のリンク貼っておきますね。
⇨ Consorzio Motoscafi Venezia

水上タクシーの中

ただし、なかなかのスピードで、しかも揺れるので船酔いする人にはおすすめしません。水上バスと違って他の船とすれ違うときも容赦無く高速で走り抜けますので、スピード狂の方、楽しめると思います。水上バスもそこそこ揺れはしますが、これがダメだともはやほぼ水上での移動が基本になるベネチアは楽しめないと思います。。

水上から徐々に見えてくる最初の到着地ムラーノ島、そしてやがて見えてくるベネチア本島が実に旅情をかき立ててきます。流石に3回目くらいからは馴染みの景色になってきてカメラを構えなくなってしまいましたが、それでも他にはないベネチア独特の世界に心踊ります。絶対的に水上移動がおすすめ。

バスルート to ローマ広場

なお、それでもやはり船が嫌だという奇特な方は、到着階から上に行く必要はありません。到着階で「ローマ広場(Piazzale Roma)」に向かうバスのチケットを買いましょう。「メストレ駅(Venezia Mestre)」に行くバスもありますが、後述の通りメストレ駅は本島ではないので注意が必要です。昔、一度空港に行くのに使ったことがありますが、バスはベネチア感のない普通の街道を進みます。所用時間はおよそ30分ほど。

ローマ広場(Piazzale Roma)のバス停はこのような感じでした。2013年の写真なので多分今は様子は変わっていると思いますが、場所は変わらずサンタ・ルーチア駅の南西にあります。水上バスはP.le Roma駅が最寄りですね。

この写真のなかなか絵になるコスティトゥツィオーネ橋を渡るとサンタ・ルーチア駅に行けますのでご参考まで。

陸路からの入り方 サンタルーチア駅

電車でベネチア本島に入る場合は、終着駅サンタルーチア駅が目的地になります。たびたびストライキで止まることで悪名高きイタリアの電車ですが、在来線はともかくユーロスターはほぼ時間通りの運行で、幸いこれまで運休に出くわしたことはありません。

サンタルーチアの一つ手前のヴェネツィア・メストレ駅。ベネチアと聞こえて降りたくなりますが、ここはまだ陸地側の駅なので間違って降りないように気をつけてください。慌てず終点まで我慢しましょう。

ちなみにヨーロッパの鉄道は、omio(旧GoEURO)というアプリで予約できます。アプリで買っておけばアプリの画面が切符代わりになるので便利です。高速列車の料金は時価ですので、旅程が確定しているなら2ヶ月くらい前に購入しておくとお買い得です。

運河が見えると最終アプローチです。この景色が左手に見えると間も無く到着です。

到着。

2013年の初来訪時にはまだ改修工事中だった駅舎もすっかり馴染みの景色になりました。この写真は2015年のものですが、雰囲気は今もそれほど変わりません。2019年には自動チケット売り場がこの写真の中程に並んでおりました。この写真右手に行くとベネチアの景色がお目見えです。

駅舎を出てすぐの景色がこちら。観光客が引っ切りなしに記念写真を撮っています。ホテルの場所にもよりますが、基本的に歩いて行くよりも水上バスのチケットを買うのが正解です。Googleマップで10分ほどの距離でも、橋があり、道も石畳なのでスーツケースを引いて歩くのは結構大変です。上の写真左右に水上バスのチケット売り場がありますが、右手側は1つしかなくいつも行列しているので、左に少し見えているたくさんある売り場の方に行くのがオススメです。

駅前の橋上から。左手の平坦な建物が駅舎

この写真の左下の灰色の建物が水上バスのチケット売り場ですね。

ヴァポレット(水上バス)のチケット購入

チケット料金はこれまた昔から変わっていないと思いますが、1回チケットが7.5ユーロですが、1日券が20ユーロで買え、さらに日数によって安くなります。滞在期間に合わせてここでフル日程分買ってしまいましょう。絶対に損しません。

最初にチケットリーダーにかざしてからが利用期間のスタートですので、もしホテルが徒歩圏内でまだしばらく使わないという場合でもやはりこのタイミングで買っておくのが正解です。このチケットは本島内の移動だけでなく、ムラーノグラスで有名なムラーノ島、カラフルな漁民の家でインスタ映えのブラーノ島、ベネチア映画祭のリド島などへも行けてしまいますのでベネチアを満喫するなら必ず買っておきましょう。

以上、ベネチア旅行の参考にしていただけると幸いです。

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