もう迷わないベネチア本島への入り方(陸路と空路を解説)

僕が2013年以来、2年に1度ベネチアビエンナーレのために訪問し、このブログでも度々取り上げているベネチアですが、たまにはお役立ち記事を書いてみようと思います。僕は本島、離島含めすべての到達ルートを経験しているので、たぶん他のどのサイトの記事よりも役に立つと思います。※24年7月の最新情報まで更新済み

この島への移動方法はいくつかあるのですが、この記事では空路(飛行機)と陸路(電車)でのルートを解説しています。日々往来する豪華客船での入島や長距離バスなどでの入り方はやや異なりますが、入島後の水上バスのチケットの買い方などは参考にできると思いますので、ベネチア旅の前にぜひご一読ください。

空路からの入り方 マルコ・ポーロ空港

ベネチア本島の北北東7kmほどの距離にある通称マルコ・ポーロ空港、正式名称はヴェネツィア・テッセラ空港(空港コードはVCE)へ向かう飛行機に乗ると、最終アプローチで右手にベネチアのラグーンが目に入ります。窓際で景色を見たい方は必ず右側の席を選びましょう。

到着に向けた最終アプローチのアナウンスが入る頃、右手には海に流れ込む川が目に入ってきます。上の写真画面中央、入江を挟んで奥側の半島のように見える島のあたりがキオッジャです。かつてベネチア共和国と海の覇権を争ったジェノバ共和国がベネチアに乗り込んで来た際に、その軍隊を足止めして戦った地です。

キオッジャが見えると間もなく手前の潟と共に、海を挟んで奥には長細いリド島が目に入って来ます。ベネチアの島々で唯一車が走り、ビーチもある島です。かのヴェネツィア国際映画祭が開催される島でもあります。あまり綺麗なビーチではないですが、夏場は人で一杯になります。

そして到着直前には、いよいよベネチア本島が見えます。わずかこのサイズの人口5万人の土地に年間3000万人が訪れるという世界屈指の観光都市の一つ。かつて船で訪れて海の都と呼ぶに相応しいと語った塩野七生(海の都の物語)の言葉通り、空の上から見てもやはり海の上に浮かぶ都市のように感じます。

日々、出ては入っていく巨大客船が停泊する姿はインパクトがあり、どこか一大レジャーランドのようにも見え、そうイメージしてみると、街中至るところを遊泳するゴンドラの様子もさながらアトラクションそのものであるように思えます。なんて考えていると間もなく空港に到着です。

なお、ベネチアの街の明かりはとても弱く、夜間飛行の場合はなんとなく光が集積しているのが確認できる程度になってしまいます(一度、夜景撮影をチャレンジしてみましたが、全然ダメでした)。この光景を見たい方はぜひベネチア到着は日中を狙ってください。

到着後、荷物のレーン横に船のチケット販売機があります。荷物が出て来ずに時間が余っているならここで買うのもありですが、しかし、この先に買うチャンスは何度も訪れるので、わざわざ並んでまで買う必要はありません。

ATVO(Azienda Trasporti Veneto Orientale)はバスの運行会社で、空港と本島のピアッツァーレ・ローマを結ぶバスを運行しています。また、本島内部でのヴァポレット(水上バス)もATVOが運営しています。船で本島までアクセスする場合は、Aliaguna社のラインを選びましょう。詳しくは後述しますが、断然こちらのルートがおすすめです。

なお、レーン脇にはATMもありますのでここでお金はおろしておきましょう。ゲートを出てからもありますが、荷物がレーンに届くまでに十分におろす時間があると思います。ベネチア本島に入ってしまうと、ブティック街あたりまで行かないとATMが見つからないので結構困ることになります。大概クレジットでなんとかなりますが、とはいえまだ現金オンリーの店もありますので。

僕は2013年の初訪問時、どうせ街中にどこでもあるだろうと思って現金を下ろさずに行ってATMを探して島中を歩き回るという大ロスを演じたことがあります。お金は空港でおろすが鉄則です。(なお海外初心者の方、両替はどんなにレートがよくても勿体無いので必ずATMでクレジットでキャッシングするか海外で使えるキャッシュカードを使いましょう。)

※このATMの記述は、近年かなり状況が変わってきました。まず、空港のATMはめちゃくちゃレートが悪いです。参考までに24年7月時点では、街中で180円/ユーロ程度で両替できたところが200円/ユーロでした。。そして、ATMが近年はベネチア本島のいたるところにできているので、空港で下ろすのは必要最低限でよいと思います。ただし、教会などを回る場合、いまだに現金だけしか受け付けていない場所が多いので現金は必須です。

現地でのネット通信に関しては、事前に日本でeSIMを契約しておくことをおすすめします。
下記記事で詳しく解説しているので合わせて読んでみてください。

eSIM-sanをイタリア旅行で使ってみた実体験レビュー

水上ルート − 水上バス・タクシー

荷物を受け取って外に出ると、左手にこのチケット売り場がありますが、見ての通りここは並んでいる可能性大です。もし空いていればここで購入してもいいのですが、列ができていたらスルーしてしまっても全く問題ありません。

到着階は一階なのですが、船着き場に行く通路は二階(ヨーロッパ式1階)にあるので上の階を目指しましょう。外からでも行けますが、動く歩道がなくてかなり大変です。

2015年頃まではこの写真のビニールの囲いの下を汗だくになりながら船着き場までずっと歩かなければならなかったのですが、今ではこのルートはありませんので、闇雲に歩き回った挙句、途方に暮れること請け合いです。

現在の形になった後の2017年、実際に僕はそれをやらかしました。。まあ、Googleマップなどに頼ればなんとかたどり着けるでしょうが、僕が記憶を頼りに歩いた2017年は、標識もなく、途中で途切れてしまったこのビニールの道の先、道なき道を歩いてやっとたどり着いた現在の姿(後述)の船着き場の姿とそこまでの2階の屋内ルートを見て、ショックを受けたのを覚えています。

そうならないように、船着き場の目印を探しましょう。水色のマークです。まあ、見つからなくても平気です。とにかくエレベーターで出発階に登ります。

1階(日本の2階)に来たら、飛行場を背にして”左側”にずっと歩いていきましょう。天井はガラス張りになっていて、昼と夜でずいぶん雰囲気が変わります。

昼の様子はこちら。網目の天井から射し込む日光が心地よい空間です。

ずっと歩いて、この水色のゲートに辿り着ければ正解です。あとは動く歩道で悠々と。のんびり行っても10分ほど。急げば2、3分で船着き場です。昼間はここでも水上バスやタクシーのチケットが買えると思います。空いていればここで買ってもいいですが、心配しなくてもチケット売り場はこの先にもあります。

のんびり行くも急ぐもあなた次第です。ときどきあと何分という表示が出てきます。

間もなくゴールです。大荷物の方、ベビーカーの方はエレベーターを使ってください。ですが、右手のエスカレーターで降りるのもおすすめです。

この通り、ドゥカーレ宮をあしらった壁と光るレールが否応なくベネチア到着の気分を盛り上げてくれます。

エスカレーターを降りると、船着き場に到着。画像右上の標識の通り、12&13の乗り場(一番奥です)で、ベネチア行きの水上バスに乗り込みます。乗り場の前にチケット売り場があるので、係の人に到着したいヴァポレットの駅を告げてブルーとオレンジの2系統あるルート(夏季は赤ラインも運行されます)のどちらに行けばよいのかを教えてもらいましょう。

これがALILAGUNA社のチケット。どちらのルートを辿ったとしても、時間は1時から1時間半くらいかかると思っていればよいと思います。価格は24年夏時点でも15ユーロ。コロナ後にインフレが大幅に進んだヨーロッパでしたが、この値段設定は13 年から変わっていないように思います。ちなみにブルーラインで最初に到着するムラーノ島までは4ユーロで行くことができます。

Aliaguna社の公式サイト:https://www.alilaguna.it/

乗車時にも行き先を聞かれるので、目的地となる水上バスの駅名は必ずチェックしておきましょう。イタリア語の発音は日本語読みのまんまで通じますし、向こうが言うのも日本人の耳で聞き取れますのでご安心を。繁忙期は係員が何人も立っているので、その場で目的地の地図を見せて、駅を選んでもらってもいいかもしれません。

なお、上の方でも書いたベネチア本島内で運行するACTV社のヴァポレット(水上バス)と、空港から発着するALAGUNA社の水上バスは別物なので、本島内での移動では、島に着いてから別途チケットを購入する必要があります。ヴァポレットのチケットはベネチア旅行で必須なので、記事後半で別途、解説します。

出発ゲートから出入りする様子です。水上タクシーもここで発着します。

行き来する海上のルートが決まっている(目印の木の杭が目に入ると思います)ので、しょっちゅう他の船とすれ違います。見ての通りすれ違う際には結構な波が立つので、水上バスは他の船とすれ違う際にはかなりスピードを落として走っていきます。

なお、水上タクシーは有力な選択肢です。金額は、僕が乗った時はダニエリまで120ユーロでしたが、わずか30分足らずで行けます。時間を半減できてしまう上に直接目的地まで行けて楽チンなので家族連れであれば十分にペイするのではないかという気がします。

オンラインで水上タクシーのチケットはオンラインで買うこともできるようなので日本語のリンク貼っておきますね。
⇨ Consorzio Motoscafi Venezia

水上タクシーの中

ただし、なかなかのスピードで、しかも揺れるので船酔いする人にはおすすめしません。水上バスと違って他の船とすれ違うときも容赦無く高速で走り抜けますので、スピード狂の方、楽しめると思います。水上バスもそこそこ揺れはしますが、これがダメだともはやほぼ水上での移動が基本になるベネチアは楽しめないと思います。。

航路を進む中で、やがて見えてくるベネチアの景観は何度見ても心躍ります。流石に3回目くらいからは馴染みの景色になってきてカメラを構えなくなってしまいましたが、それでも他にはないベネチア独特の姿は気分を高めてくれます。絶対的に水上移動がおすすめ。

ベネチアの風景については、歴史を知ると見え方が変わってくるので、ぜひ下記記事にも目を通してみてください。

18世紀の風景画と見比べてわかるベネチア今昔

バスルート to ローマ広場

なお、それでもやはり船が嫌だという奇特な方は、到着階から上に行く必要はありません。到着階で「ローマ広場(Piazzale Roma)」に向かうバスのチケットを買いましょう。「ベネチア・メストレ駅(Venezia Mestre)」に行くバスもありますが、後述の通りメストレ駅は本島ではないので注意が必要です。何度か本島から空港に行くのに使ったことがありますが、バスはベネチア感のない普通の街道を進むので、船とは違って本当にただ移動するだけという感じです。所用時間はおよそ30分ほど。料金的には水上バスより少し安かったと思います。このバスはヴァポレットと同じくACTV社が運行しています。白と青のバスが走っていますかね。

ローマ広場(Piazzale Roma)のあたりもかなり整備が進んで、今はトラムなんかも発着していますね。

バス停からは、大運河にかかる4本の橋のひとつ、この写真のコスティトゥツィオーネ橋を渡ってサンタ・ルーチア駅方面に行けますが、サンタ・ルーチア前の水上バスとそのチケット売り場はいつも混雑しているので、橋を渡らずにバス停にあるチケット売り場、水上バス乗り場を使った方がいいかもしれません。まあ、バスの乗客が殺到するとこちらはこちらで混むような気がしますが・・・

橋のすぐそばに市バスの乗り場、その先にトラム、さらに奥に空港バスの発着場所があると思います。空港バスのチケット売り場は、上の写真の右奥の白い建物に入っていたと思います。バス停では買えないので要注意です。

こちらのちょっとさびれた雰囲気の場所ですので帰りに利用する場合はご注意ください。帰りのルートでトラブることはよくあると思うので、時間をもって行動しましょう。僕自身、初滞在の時に空港ではなく客船ターミナルに行ってしまってあやうく飛行機に乗り損ねそうになりました。今はネットも便利になりましたし、かなりわかりやすくなったのでそうそう間違わないとは思いますが。

陸路からの入り方 サンタルーチア駅

電車でベネチア本島に入る場合は、終着駅サンタルーチア駅が目的地になります。

たびたびストライキで止まることで悪名高いイタリアの電車ですが、やはり大幅に遅延したり、運休が発生することがよくあります。わりと主要駅であっても、ホーム変更や運休などに関してイタリア語でしかアナウンスがない駅も多いので、その可能性は頭の片隅に入れて行動しましょう。また、そのような可能性を考慮した旅程を組むのも大事です。

サンタルーチアの一つ手前のヴェネツィア・メストレ駅。ベネチアと聞こえて降りたくなりますが、ここはまだ陸地側の駅なので間違って降りないように気をつけてください。慌てず終点まで我慢しましょう。ただ、価格高騰が著しいベネチア本島のホテルよりもリーズナブルな宿が多いので、あえてこちらに宿をとるというのも選択肢のひとつではあります。

メストレ駅自体は普通の都会の街という感じで見るべきところはないのですが、バックパッカーがたくさん乗り降りするのを見ることがありますね。あとは地方に向かう長距離バスの発着などもあるようですのでご参考までに。

ちなみにヨーロッパの鉄道は、OMIO(旧GoEURO)というアプリで予約できます。アプリで買っておけばアプリの画面が切符代わりになるので便利です。現地で買うよりも手数料は乗ってしまうのですが、高速列車の料金は時価ですので、旅程が確定しているなら2ヶ月くらい前に購入しておくと断然お買い得にチケットを入手できます。

あと、24年から始まるということになっていたベネチア本島の入島税ですが、24年の運用では4月~7月までのうち、イベント等がある特定期日だけが対象となっていました。本島に宿泊していない場合は、駅前などに設けられたブースで支払いが必要だったようですが、実際にどんな運用になっていたかはちょっと謎です。めちゃくちゃ素通りされそうなブースが駅前に設けられていましたが…

さて、電車移動では運河が見えると最終アプローチです。この景色が左手に見えると間も無く到着です。

到着。駅の雰囲気は、フィレンツェやローマなどのイタリア主要都市とすごく似ています。トイレは1ユーロ必要なので小銭はお忘れなく。

2013年の初来訪時にはまだ改修工事中だった駅舎もすっかり馴染みの景色になりました。この写真は2015年のものですが、雰囲気は今もそれほど変わりません。現在は自動券売機が大量に並んでいます。ここでチケットを買うのに行列で待たされたことは今のところないですね。隣のメストレ駅なんかは結構並ばされます。

イタリアの電車のチケットは、全て列車指定で購入しないといけないので旅程が決まっているなら空いているときに買ってしまうとよいと思います。

駅舎を出てすぐの景色がこちら。観光客が引っ切りなしに記念写真を撮っています。ホテルの場所にもよりますが、基本的に歩いて行くのではなく、すぐに水上バスのチケットを買うのが正解です。Googleマップで10分ほどの距離でも、橋があり、道も石畳なのでスーツケースを引いて歩くのは結構大変で予想以上に時間がかかります。上の写真左右に水上バスのチケット売り場がありますが、右手側は1つしかなくいつも行列しているので、左に少し見えているたくさんある売り場の方に行くのがオススメですかね。まあ、そのときの状況次第で判断してください。

駅前の橋上から。左手の平坦な建物が駅舎

この写真の左下の灰色の建物が水上バスのチケット売り場ですね。

ヴァポレット(水上バス)のチケット購入

チケット料金は、1回チケット(90分有効)が9.5ユーロですが、1日券が25ユーロで買え、さらに日数によって安くなっていきます。最大で7日間チケットがあるので、滞在期間に合わせてここでフル日程分買ってしまいましょう。絶対に損しません。ちなみにコロナ前はずっと1回チケットが7.5ユーロ、1日券が20ユーロだったのでこちらは値上がりしちゃいました。

利用開始のタイミングは、購入した時点ではなく、最初にチケットリーダーにかざしてからですので、もしホテルが徒歩圏内だからまだしばらく使わないという場合でも、やはりベネチアに着いたタイミングで買っておくのが正解です。

このチケットは本島内の移動だけでなく、ムラーノグラスで有名なムラーノ島、カラフルな漁民の家でインスタ映えのブラーノ島、その先のベネチア発祥の地トルチェッロ島、そしてビーチがあり車が走るリド島などへも行くことができます。

なお、VeneiaUNICAパスというベネチアの周遊パスがあるのですが、これは長期滞在でなければ買う必要はありません。運用方法も買い方もめちゃくちゃわかりにくいので、情報を調べるだけで時間が溶ける上に(しかも運用は現地判断だったりするのでネットだけだとわからないことだらけ)、このパスで入れない主要施設が多いので、たぶん短期滞在だと元を取れないです。(6か月とか有効だったりするので長期滞在ならありですが、各施設1回だけとか他にもいろいろ制限付きなのがまた微妙)

一応、このパスの購入サイトでヴァポレットのチケットを事前購入でき、現地の券売機で発券することもできるのですが、割引があるわけでもないので何の意味があるのだろうという感じなのでリンクも載せないでおきます。

以上、ベネチア旅行の参考にしていただけると幸いです。

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