マリオットの新クレジットカードをアンバサダー会員が品定めしてみる

マリオットに統合された旧SPGグループが発行していたアメックスSPGカードは僕が記憶する限り2016年頃から陸マイラーやホテリスト界隈でネット上で盛んにもてはやされてきましたが、2022年2月24日にようやくマリオットブランドの新規クレジットカードとして生まれ変わることが発表されました。

僕も長らくこのSPGカードは重宝してきたのですが、新カードの情報が届いたので、今後どう活用するか吟味してみたいと思います。

なお、僕はANA VISAプラチナカードをメインで利用しており、SPGカードはサブで主にマリオット系列のホテル利用時に利用するという使い分けをしています。また、SPG時代からプラチナ会員を継続しており、昨年は年100泊が条件のアンバサダー会員に到達しています。

そんなマリオットヘビーユーザー目線で、果たして新規カードを継続利用すべきかどうかを検討してみるのがこの記事の趣旨になります。

サービスの変化点とその評価

価格改定

旧SPGカードの正式名称は、スターウッドプリファードゲスト アメリカン・エキスプレス・カードでした。その名の通り、2019年にマリオットに買収されたSPGグループとアメックスの提携カードです。これが、リニューアルされてMarriott Bonvoy アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード(以降、プレミアムカードと呼びます)という名称に変わります。

プレミアムという名称がつく通り、いわゆるプラチナカードらしいブラックの券面になり、少し高級感が出た感じです。ただし、従来の34500円(税込)の価格から、49500円(税込)へと15000円ほど年会費が上がってしまいました

また、それに伴って、このカードの下位モデルのMarriott Bonvoy アメリカン・エキスプレスカードというカード(以降、ノーマルカードと呼びます)を23100円(税込)という価格設定で新規発行してきました。これには今までよりもリッチ層と、ライト層でサービス展開を分けようという狙いが見て取れます。

ポイント制度

まずはやはり気になるカードの還元率から見ていきますが、ここはプレミアムカードは従来のSPGカードと代わりありませんので、まだ判断は保留しますが価格差を考えると改悪と捉えられるかもしれません。

還元率は通常のカード利用では100円当たり3ポイントがつきますが、マリオットのポイント設定はMarriott Bonvoyが成立したときにSPG時代の3倍にされたために、現金換算がややこしくなっているので注意が必要です。

このマリオットのポイントは、多くの航空会社で3ポイントを1マイルに交換することができます。さらにその際、60000ポイントをまとめて移行すると5000マイル追加されるという設定があるため、マイル還元率が1.25%という計算が成り立ちます。

個人的にはANAのプラチナカードの還元率が1.5%なのでこれはメインにするにはやや物足りない還元率ですが、まあまあ優秀な数値ではあります。とはいえ発行無料のカードでも1%を超える還元率のものは多数あり、年間1000万円くらい利用するのでなければ還元率だけでは決してお得とは言えないかなという感じですね。

ただし、このカードは僕のように年間200泊超のホテル宿泊をするような人にとっては還元率が倍増する旨味があります。Marriott Bonvoyの加盟ホテルに宿泊すると100円当たり6ポイント、つまり2.5%のマイル還元率になるため、このカードを利用しない理由がありません。もちろんこのポイントはホテル利用時に利用することもできるので、高級ホテルのヘビーユーザーにとってはとても使い勝手がよいものでもあります。ちなみに国内のマリオット系列のホテルでのポイント利用を検討するなら下記の記事が参考になると思います。(今年カテゴリーの制度は廃止される模様)

【電話不要・アプリ不可】マリオットの無料宿泊特典のWEB予約方法とオススメの宿泊先

なお、ノーマルカードでは、この還元率が2/3に減額されてしまうので、一般的なカードと比較して見劣りしてしまう感じですね。

カード継続特典

還元率だけでなくその他の付帯特典もカード選択においては重要な要素ですので順番に見ていきましょう。

エリートステータスの付与

マリオット・ボンヴォイの会員制度は年間10泊でシルバーエリート、25泊でゴールドエリート、50泊でプラチナエリート、75泊でチタンエリート、100泊でアンバサダーと宿泊数に応じて会員ランクが変わります。

ホテルのエリート会員制度については下記記事に詳述しています。

【年200泊する僕が徹底解説】得するホテル予約サイトの選び方(ノウハウ全部出し)

プレミアムカードを持っていると、SPGカードと同様にこのゴールドステータスを宿泊することなく維持することが可能になります。で、カードアフィリブログであればこのステータスを絶賛するところでしょうが、はっきり言ってゴールドエリート会員は大したメリットではないので、それを目的にこのカードを選ぶのはまったくおすすめしません。

が、なんとプレミアムカードについては、この特典に加えてなんとわずか年間400万円のカード利用で、プラチナエリートがもらえてしまうというサービスが追加されました。プラチナ特典は16時までのレイトチェックアウトに加えて、朝食無料、ラウンジ利用などゴールドとは比較にならないメリットがあります。

これを目的にホテル修行を繰り返す人もいる中、宿泊数を稼ぐことなく達成できてしまうのはホテル利用ライトなリッチ層にとってはめちゃくちゃメリットがあります。ただ、これは僕のようにそもそも宿泊数が多い顧客にとっては、ただでさえホテルの上級会員が増えまくっている昨今、それに拍車がかかるというデメリットしかないですね。。うーん、もっとちゃんと宿泊している客を優遇してほしい。。。

宿泊実績の加算

SPGカードではエリート会員取得のための5泊分の宿泊実績加算だったところが、15泊分の宿泊実績の加算と大幅に増加しました。これはなかなかの破壊力があります。

が、プラチナを目指すのであれば上述したカード利用400万円の方がハードルが低いので、プラチナ獲得に向けては微妙。これはチタン、あるいはアンバサダーを目指す方のための特典でしょう。

これまでゴールドからアンバサダーまで経験した実感としては、やはりチタンになるとプラチナよりも待遇が良くなる印象があります。もしプラチナの50泊はクリアできるけど75泊はやや足りないという方にとってはこれは魅力的な特典だと思いますね。

ホテル利用者に使ってほしいという運営意図が見える制度設計です。

無料宿泊特典

SPGカードの目玉特典だった無料宿泊の特典は、新カード(プラチナ、ノーマル共に)では年間150万円の利用が条件になりました。カード代金34100円がこの特典ひとつで元が取れるという触れ込みで広まったSPGカードでしたが(本当はうまく使わないと全然お得ではないのですが…)、これでカード更新はやめるという意思決定が必要な方が多くなりそうですね。

僕の場合はホテル利用でこのくらいの額は余裕でクリアできるので特に影響なしです。やはりホテル利用層にターゲットを絞ってきた感があります。

なお、この無料宿泊特典利用時にポイントを15000ポイントまで追加利用できるというアナウンスもありました。これはちょっと朗報かもしれません。正直、50000ポイント相当までで宿泊できるホテルは、ほとんど1泊2万円未満で泊まれるようなホテルばかり(特に国内が顕著)なので、大多数の方にとっては無料宿泊特典は元が取れるようなものではありませんでした。

しかし、このポイント数の加算でグレードの高いホテルが視野に入ってくるようになるので、うまく使えばかなりお得な宿泊体験ができるようになる可能性があります。

プロパティクレジット

新カードで新しく追加されたのがこちら。リッツ・カールトンまたはセントレジスの利用時に2連泊以上すると100米ドルのクレジットが利用できるという特典です。朝食二人分に足りるかどうかというくらいですからこれを目当てに連泊するほどのものではないでしょう。おまけみたいなものですね。

そもそもプラチナ以上の会員であればこの手のサービスがつくプランはよく出てくるので特に魅力は感じません。

その他の各種サービス

トラベルサービス

空港ラウンジ(航空会社のものではない)の利用、手荷物の配送サービス、空港クロークなどゴールドカード以上でありがちなサービスは従来のまま特に変更ありません。僕は散々飛行機で旅をしてますが、使ったことのないサービス群です。。

各種プロテクション

傷害保険などのサービスは、プレミアムカードの海外旅行の傷害保険最高額1億円は優秀ですが、これも僕はメインのカードの方で賄えているので特に魅力を感じたことはありません。海外旅行の傷害保険に関しては若干の改悪があり、カード利用なしでも5000万円まで保証という条件がなくなりました。なおノーマルカードの方は諸々条件が無料カード並みなので全く利用価値はありません。

あと、スマートフォン・プロテクションというスマートフォンの修理代金を最大3万円まで補償というこれまた微妙なサービスが追加されました。10万円を軽く超えてくる今時のスマホ料金を考えると微妙すぎますね。。この特典を使うためには携帯料金の支払い設定が必要なようです。うーん。

総評

結論として、個人的には継続するかどうかの判断を絶妙に悩むカードになってしまいました。僕の場合は無料宿泊特典はうまく利用できるので従来の34100円という値段設定は十分ペイするものではありました。あとはSPGカードからの差分、年間10泊分の宿泊数加算が15000円分の価値があるかというところですが。。うーん。。。

まあ、ホテル支払いでのポイント付与も加味すると十分にお得ではあるので解約するまではいきませんが、改悪されてしまったかなという印象は拭えませんね。

なお、ノーマルカードは魅力薄なので全くお勧めしません。たぶん陸マイラー・カードブロガー勢が無料宿泊特典を推して、安くなったとおすすめしまくる記事がたくさん登場すると思いますが、普通に還元率の高いカードを使って、普通に宿泊した方がお得なので騙されませぬようしっかり吟味してみてください。

ちなみに会員からの紹介で最大20万ポイントの還元というキャンペーンをマリオットがやっていますので、紹介して欲しいという方は記事下のコメントにメールアドレスを残してもらえれば1日以内に紹介リンクをお送りします。(コメントは公開されませんので安心ください)

※キャンペーンは期間限定で【2022年4月25日(月)お申し込み分まで】ご入会後6ヶ月以内に合計150万円以上のカードご利用で獲得可能とのことです。

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