安藤忠雄の代名詞であるコンクリートの質感と旧来の姿を残すレンガ壁のマリアージュで、現代アートの祭典ベネチアビエンナーレが行われる都市らしい非常に魅力的な現代美術館に仕上がっているのがこちらです。
見所が数多くあり旅程に迷うベネチアですが、安藤建築ファンならずともぜひこの美術館には足を運んでいただきたい。
目次
美術館の特徴と見どころ
美術館の見取り図
島の先端の形に沿った台形です。入り口はこの図の右上の部分ですね。入ってすぐの白い部分が最大の展示スペースになっており、ここでのファーストインパクトが展示の成否を決めると言っても過言ではありません。
それほど大きな美術館ではないので、展示は普通に回って1時間くらいの鑑賞時間になるのではないかと思います。
コンクリートと木とレンガ
やはりコンクリート打ちっ放しの安藤イズムの建築は必見です天井の木組みと壁面のレンガをそのまま活かしつつもモダンに仕上がっています。
巨大な展示スペース
2階建てでいろんなサイズの展示スペースがありますが、巨大な柱が残されたこのように非常に大きなスペースも。巨大な作品も展示可能です。
展示空間の窓からの景色
美術館としてちょっと異質なのは、展示スペースに現れるこのアーティスト泣かせの窓です。そりゃ、ベネチアの街並みが見えてしまったらアート作品そっちのけで外の景色を見に行ってしまいますね。その誘惑に勝てるかどうか、作品の力が試されます。
ブックストア
図録やアート作品など購入できるショップもありますので、お土産探しにどうぞ。一応、カフェもあるので疲れたら休憩に使えると思います。
アクセス方法
最寄駅はSalute(サルーテ)駅です
美術館はグランドカナル(大運河)の出口にあり、水上バスを使えばとても簡単にアクセスできます。1番路線の船に乗りSalute(サルーテ)駅で降りてください。
ベネチアの有名なランドマークの一つ、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂を目印にすればまず間違えません。
この聖堂です。写真右端の駅がサルーテ駅です。
聖堂の左側、島の先端の三角形の建物がプンタ・デラ・ドガーナです。
※この写真は鐘楼の上から撮りました。
アクセス時の注意
間違ってもベネチア初滞在で徒歩移動で計画を組むのはやめておきましょう。迷路のような街並みなので、まず予定通りに移動できません。土地勘のある僕でもGoogleマップの検索で表示される倍近く時間がかかったりします。迷わなくてもそんな感じですから、初めてだと絶対に最短ルートはたどれません。
もちろん最近はGPSの精度はそこそこ期待はできますが、それでもGoogleMapで路地1本分くらいは余裕でずれるので、急いでいると行き止まりだらけで途方に暮れることになると思います。
サンタ・ルーチア駅から南下するルートを案内している記事など見かけますが、その界隈はベネチア観光では優先度が最も低いエリアなので、そうではなく水上バスで優雅に景色を楽しみながら移動するのが正解です。お金を使わない徒歩ルートを優先するならせめてリアルト橋からアカデミア橋を経由してベネチアらしい景色を堪能できる道のりを選ぶべきでしょう。
アカデミア橋のルートを進むなら、カヴァッリ・フランケッティ館からアカデミア美術館、ペギー・グッゲンハイム・コレクションなど、この美術館までにこれまた外せない美術館が並ぶので、それぞれ足を運ぶのであれば丸一日の旅程になってしまうと思います。
美術館の入り口
美術館の入り口はこちら。一番左の扉です。後述しますが、建物脇左手の小道を進むと島の先端に行けますのでぜひ足を運んでください。
ロッカーはありますが軽装で行きましょう
入り口手前にそこそこ大きなロッカーがあるので、それなりのサイズの荷物は入れられますが、水上バスの乗り降りなど、荷物があると邪魔だと思うので、なるべく持ち物は少なくするのがいいと思います。
開館時間
ちょっとトリッキーですが金曜日から月曜日までの開館です。火曜から木曜日はやっていないのでご注意ください。僕も初訪問の時に行ってみたら閉館日で入れなかったので、旅程を組む際にはご注意を。
開館時間は10時から19時までで、最終入場は18時になっています。
入場料金と予約方法
チケットは、条件によって割引料金の設定などがありますが、「グラッシ館」という姉妹館の入館料とセットで15ユーロになります。
グラッシ館はちょっと離れた位置にあるので、こちらの訪問は優先度が落ちるかもしれませんが両美術館にまたがって展示されるエキシビジョンもあるので要注意です。
来訪の際の展示など、最新情報の確認は美術館のホームページにアクセスしてみてください。
一応、予約チケットのサイトも貼っておきますが、入館に行列ができているのを見たことがないので、当日、窓口で購入するので問題ないと思います。
https://www.ticketlandia.com/m/palazzo-grassi-venezia
過去の展示
こちらの美術館は常設展示はなく、会期ごとに展示が異なりますので、どんなエキシビジョンに出くわすかは運次第ですが、世界的にもアートの一大拠点であるベネチアですから、基本的に魅力的な展示を期待していいと思います。
ご参考までに僕が訪れた際にやっていた過去の展示会の風景をちょっとだけ載せておきます。
ダミアン・ハーストの展示
Treasures from the WRECH of the Unbelievable
2017年、ベネチアアートビエンナーレの年に話題をかっさらったダミアン・ハーストの一大展示です。これはインパクトがありました。コンセプトもさることながら、実際に過去の異物に見立てた作品を海に沈めて拾い上げるという壮大な手がかかったプロジェクトです。
この美術館の展示室を余すことなく使うには相当な物量とバラエティが必要ですが、それを完全に活かしきっていると言ってよいエキシビジョンでした。
Luogo e Segni / Place and Sign
2019.3.24-12.15
36名のアーティストが参加したエキシビジョンでした。各アーティストはそれぞれ自国語で書かれた詩を添えて作品を展示することになっており、それらの詩の一覧は公式サイトに掲載されています。
入ってすぐの巨大空間を活かしたビーズのカーテン。いきなりこれはなかなかのインパクトでした。静まったところを撮りたかったですが、ひっきりなしに人がジャラジャラやっていくので諦めました。笑
こちらは窓のある空間をうまく活かした作品でした。
美術館の奥に行ってみよう
美術館の奥のスペースは、ベネチアの絶景を見渡せるスポットの一つですので、美術館まで来たなら、もう一息だけぜひ歩いてみてください。
上の写真の街灯がある日の当たっている島の先端部分ですね。ここは日のあるうちは次から次へと人がやって来ては思い思いに過ごして去っていきます。
手前がカナルグランデ(大運河)ですが、こちらは大きな船の往来が禁じられており、巨大船は奥のジュデッカ島の方のルートを進んでいくので、本島側では見られない船の往来を間近で見ることができます。
そして本島のサン・マルコ側を望むとこのような景色が広がります。まあ、この景色自体は水上バスに乗れば普通に見れるんですが、一瞬で通り過ぎていく船からの景色とはまた違って、心ゆくまで景色を堪能できるのがよいところだと思います。
以上、プンタ・デラ・ドガーナの記事でした。休館日が多い場所なのでくれぐれも事前チェックは忘れずに楽しんで来てください。