ニューヨークの美術館巡り

ニューヨークには世界的な作品を収蔵する大規模美術館が集積しており、アート好きならば必ず訪れるべき都市のひとつです。観光名所が数えきれないほどあるニューヨークですが、美術館巡りだけでも1週間滞在してもまるで足りないくらいのボリュームがあります。

たとえばメトロポリタン美術館、フリッツコレクションの2つをめぐるだけで35点しか現存しないと言われるフェルメール作品のうち8点を一気に見ることができたりもします。

世界のフェルメール所蔵美術館巡り

今回は、そんなニューヨークの美術館の中でも特に有名どころを取り上げてみたいと思います。

メトロポリタン美術館|The Met

ルーブル美術館やエルミタージュ美術館と並び、世界三大美術館の一つに数えられる大規模美術館がメトロポリタン美術館です。400以上もの展示室を誇り、所蔵作品も200万点もあるということで、とても1日では回りきれない展示ボリュームの美術館です。もちろん収蔵されている作品の種類もバラエティに富んでいて、古代から現代までのあらゆる種類のアート作品をここだけで全て目にすることができると言っても過言ではありません。

日本でもこの美術館からの貸し出し作品によるメトロポリタン美術館展はしばしば行われており、足を運んだことのある方も多いのではないでしょうか。2022年の春にもヨーロッパ美術の展示室の改修に合わせて、多くの作品が日本に到来していましたね。>メトロポリタン美術館展

館内には、エジプトの遺物が数多く展示されていますが、中でもこの広い居室に展示されているデンドゥール神殿(Temple of Dendur)は、アスワンハイダムの建築による水没からユネスコの援助によって救われ、そのお礼としてエジプトから寄贈されたという来歴を持ちます。遺跡そのものを展示しているというこのスケールの大きさはアメリカらしさを感じますね。

館内は昼ごろには観光客でいっぱいになり、入館チケット購入の行列もかなり長くなるため、なるべく早い時間からの訪問か、ネットでの事前予約がおすすめです。特に入り口すぐにあるエジプトエリアはかなり混雑し、そのあたりのトイレにも行列ができます。

午前中は比較的空いているので、なるべく朝のうちに訪問してお目当ての人気エリアから回るのがおすすめです。

なお、チケット料金は今夏値上がりして大人30ドルと、他の美術館の群を抜く高額設定となっています。しかも観光地でよくある観光パスなどにはメトロポリタン美術館のチケットは含まれませんので、じっくり回って連日訪問するとなかなかの散財となります。が、それでもやはりアート好きにとっては世界の美術館の中でも、必ず見ておきたい場所のひとつです。

チケット購入ページ(公式)

美術館はマンハッタンの中心にある広大なセントラルパークの南北の中央東側に位置しています。ホテルが集積するマンハッタン南部エリアからはマディソンスクエアを北上するルートのバスに乗って向かうのが便利です。

多くの場所でマスク着用義務がなくなっていた2022年初夏時点でも、この美術館への入館はマスク着用が必須でした(当記事執筆時点ではマスクは義務ではなく「推奨」となっています)。

ニューヨーク近代美術館|MoMA

現代アートの殿堂ともいえるニューヨーク近代美術館、通称MoMA(Museum of Modern Art)です。現代アートの重要作品が数多く展示されており、誰もが一度は教科書などで目にした作品などにもお目にかかれます。

MoMaはデザイングッズでも有名ですね。世界各地でMoMaデザインとのコラボ製品が販売されていたりしますが、そのグッズショップは美術館の地下と道を挟んだ反対側の建物の2か所にあり、お土産選びも捗ります。

タイムズスクエアとセントラルパークの南北の中間地帯、高級ホテルや高級ブティックが立ち並ぶ一等地にあります。

ソロモン・R・グッゲンハイム美術館|Solomon R. Guggenheim Museum

グッゲンハイム美術館は、フランク・ゲーリーによるビルバオ、ソロモン・グッゲンハイムの姪であるペギー・グッゲンハイムの元邸宅を改装したベネチア、そして長らく建築停止中のアブダビ、また過去に運営されていた美術館も世界に複数ありますが、それらソロモン・R・グッゲンハイム財団による最初の美術館がここ、ニューヨークのグッゲンハイム美術館です。

円筒状のこの特徴的な建築は、「フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群」の一つとして、世界遺産にも登録されています。

エレベーターで最上階に登り、螺旋通路を下りながら展示を鑑賞していきます。数多くのカンディンスキーの作品を中心に、ピカソやマティス、シャガールなど、近現代の作品が展示されており、また企画展も開催されています。

メトロポリタン美術館から徒歩圏内ですが、前述のとおりメトロポリタン美術館は早足で巡っても1日で回り切ることは難しいので、美術館巡りをするならメトロポリタンとは別日で、後述するフリックコレクションや、ガゴシアンなどと合わせてホッピングするのがおすすめです。

フリック・マディソン|Frick Madison

フェルメールを3作品保持しているフリック・コレクションは改修のため2022年現在は休業しています。が、代わりに2021年よりメトロポリタンの分館として使われていた建物に移転して展示再開されています。

建物の中に入るとインパクト大の天井のライティングがお出迎え。地下にカフェスペースがあります。

アメリカの美術館にしては珍しく、ここは展示室での写真撮影が禁じられています。ヨーロッパの個展美術が中心の展示で、2階にはフェルメールの3作品がまとめて展示されていました。作品点数はそれほど多くなく、じっくり回っても1−2時間あれば十分に回れてしまいます。

アッパー・イーストエリアの、やや南側にあり、こことグッゲンハイム美術館の中間くらいにメトロポリタン美術館がある立地。グッゲンハイム美術館からも十分に徒歩圏内です。

ガゴシアン|Gagosian

ニューヨークの超有名ギャラリーがフリック・マディソンと同じマディソンアベニューにあるので紹介しておきます。ここは、人気漫画の「左利きのエレン」でも登場していますね。世界的な現代アーティスト、村上隆やダミアン・ハーストなどが所属することでも有名で世界でも最も影響力のある画廊です。

この5月には、街道に面したショップの奥の展示室と、となりのビルの上層階の二箇所の展示室で、NFTに参入した村上隆のムラカミ・フラワーやCloneXといったNFTコレクションのエキシビジョンが開催されていました。

フリックマディソンから北上して徒歩1、2分の距離です。南の中心街からはバスで北上して75th ストリートあたりを目安に降りて、フリックマディソン > ガゴシアン > グッゲンハイムの順に回って、5thアベニューを走るバスで帰ってくるというルートがおすすめですね。

ホイットニー美術館

前述したフリック・マディソンの建物をメトロポリタン美術館の前に利用していたのがこのホイットニー美術館です。このアメリカ現代アートを中心とした美術館は、現在は数多くのギャラリーが集まるウエスト・ヴィレッジ地区、ハイライン南端の出入口付近にあります。

コンテンポラリーアートの企画展などが目を惹きますが、エドワード・ホッパーやアンドリュー・ワイエスなどの20世紀のアメリカンイラストレーションの巨匠作品などの展示も目玉です。

各階層に屋外展示スペースがあるのがユニークです。大混雑のMoMAなどのカフェと違って、この美術館の屋上や1階のカフェは比較的空いています。

リトルアイランドなどニューヨークの新名所が完成したばかりの地区でもあり、現在も再開発が進んでいるエリアなので、今後が楽しみです。やや交通の便は悪いですが、ここを起点に周辺のギャラリー巡りをしてみたり、ハイラインを北上して、これまた新名所のベッセルなどを見て歩くのも悪くないと思います。

まとめ

ニューヨークには他にも数多くのギャラリーやミュージアムがあり、数え上げるときりがありませんが、その中でも特に見どころとなる美術館を並べてみました。ニューヨーク観光の参考にしていただけると幸いです。

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