年の半分以上を自宅外で過ごす生活の中で、これまでスーツケースは10台くらい使ってきました。若い頃はノーブランドのものを壊れるまで使うのを繰り返していましたが、いろいろと試すうちに最終的にリモワとトゥミに落ち着いて今に至ります。
国内外の空港で荷物受け取りレーンでプライオリティタグ(ビジネスやファースト等の優先顧客を示すタグ)がついているスーツケースを見ると、リモワとトゥミの割合が圧倒的に高いことに気づくと思います。デザイン性もさることながら、結局、高頻度で使うならコスパがいいのは高品質のスーツケースなんですよね。
航空機に荷物を預けていると投げられたり結構乱雑に扱われるので、安いスーツケースは一発で破壊されてしまうということがままあります。そうやって壊れたスーツケースを受け取りレーンで見ると可哀想な気持ちになりますが、そんな悲惨な状況を防ぐためにもスーツケースにはそれなりにお金をかけるのがよいかなと思う次第です。
この記事では、僕の経験を元にスーツケース選びのポイントやおすすめのスーツケースについて書いてみたいと思います。
目次
スーツケース選びのチェックポイント
スーツケースを選ぶ際に考慮すべきポイントはざっと下記の通りで、案外いろいろと気にする必要があります。
- サイズ(外形の大きさ・内容量)
- 重量・頑丈さ
- 持ち運びの便利さ(持ち手の握りやすさ、転がしやすさ)
- 収納構造(外部アクセス、仕切り、スーツ収納など)
- ロック機構(PSA、鍵、番号)
- ファッション性(外観のデザイン、色など)
ファッション性は個々人の好みで良いとして、それ以外の要素についてスーツケース選択で重視すべきポイントを確認していきましょう。
サイズ
大は小を兼ねるとはいえ、ただでさえ大荷物になりがちな旅行では、荷物はできるだけ減らすのが鉄則です。空いているスペースがあると埋めたくなるのが人情なので、そこはあえて少し不足するくらいの大きさを選ぶのが正解です。
特に海外旅行では、日本のように全ての道が舗装されているとは限りませんし、階段の登り降りは必ずあるでしょう。そんなときにできるだけ苦労しないように身軽にしておくのが旅を快適にするために重要になってきます。
サイズ選択では、外形寸法が飛行機の機内持ち込みサイズに収まる大きさを狙うかどうかがポイントになります。手荷物を預けずに済むサイズにできれば飛行機到着後の待ち時間を大幅に短縮できます。機内持ち込みの最大寸法は、男性の平日5日の出張であれば替えのスーツ1着と下着の日数分は十分収納できるサイズになると思います。
また、大抵の場合、販売されているスーツケースには目安の日数表示がされているのでそれを信じれば大筋外さないでしょう。くれぐれも大きめにはしないことです。
重量・頑丈さ
手荷物として預けない機内持ち込み用であればあまり気にする必要はないですが、手荷物で預ける場合は荷物が入った状態で投げ落としても大丈夫そうかイメージして選ぶのがよいです。
特にタイヤ部分や持ち手などはどうしても構造的に壊れがちなので、それらの箇所が丈夫なものを選びたいところです。旅行中に持ち手やタイヤが壊れると(どちらも経験あり)地獄のような移動時間がやってきます。ここは本当にケチらないようにしましょう。
ちなみに主要空港であればスーツケースをラッピングするビニールが用意されていたりするので不安があれば利用するとよいかもしれません。スーツケースベルトを使う方も多いですね。ただ、頑丈なものを選んでおけばそういった手間は不要になるので、スーツケース自体にコストをかけるべきかなと思います。
持ち運びの便利さ
スーツケースを転がしながら持つ取っ手の部分は何度も伸ばしたり縮めたりするので、構造的に痛みやすく、繰り返すうちに伸縮しづらくなったりすることがよくあります。
また、ここはカバンを持ち上げられるだけの十分な強度を備えていないのですが、どうしてもバスの乗り降りとか、短めの階段などちょっとしたタイミングで油断してそのまま持ち上げてしまうことがあると思います。
そんなときになるべく壊れないように、取っ手部分の構造が丈夫かどうかは購入時に必ずチェックしておきたいところです。ものによってはすごく細い取っ手になっていることがあるので、そういうものは選ばないのが吉です。
また、タイヤ部分もあまり華奢なものよりはなるべく重厚感のあるもので壊れにくそうなものを選びましょう。ガタガタの道や石畳などでは結構、タイヤが転がる音が響くのが気になったりするので、静音性もできればチェックしておくとよいです。ここはデパートのつるつるの床で空のケースを転がしてもわかりにくいのが難点ですが、タイヤ部分が軽そうなプラスチックのものはやはり安っぽく大きな音が鳴る傾向があります。
収納構造
収納については、なるべく余計な仕切りがついていないシンプルな構造のものを選ぶのがおすすめです。いろいろ収納機能がついているものに目移りしてしまいますが、お土産や洗濯物などで旅行中に収納状況が変わるので、柔軟に中を調整できるように広くスペースが空いているほうが結果的に便利です。最近はオーガナイズ用グッズもいろいろと出ているので、仕切りたい場合はそういったものを利用するのがよいと思います。
機内持ち込み未満のサイズのものであれば、スーツケースを開かずに外部アクセスできるポケットがついているタイプのものは結構おすすめです。
ロック機構はPSAロックが必須です
スーツケースの鍵はPSAロックという空港の管理局だけが持つ鍵で開けられる機構がついたものを必ず選びましょう。もしPSAロックがない場合は、手荷物を預ける時にロックを外しておく必要があります。もしロックしたまま預けると鍵が壊されて出てきます。
ちなみに、昔、海外出張に行ったときに、僕の上司は高級スーツケースの代名詞、グローブトロッター(PSAがついていない)のロック機構を破壊されていたことがありました。当然、ビジネスクラス利用でプライオリティタグがついていましたし、鍵も開けて預けていたのに関係なしです。くれぐれもPSAロック付きのものにしましょう。。
ただし、僕はPSAロック付きのスーツケースのロックが破壊されて出てきた経験があるので、残念ながらこれも万全ではないというのがなんとも。。。。
おすすめのスーツケース(TRIMの愛用品)
さて、ここからは僕が最終的にたどり着いた愛用品を紹介していきます。
RIMOWA|リモワ
価格を度外視するなら、旅行用スーツケースはリモワ1択です。僕はサイズ違いでリモワを2台持っています。販売店で聞くとプラケースは10年、アルミは20年もつということですが、肌感としてはもっといけると思います。
デザイン性もさることながら、圧倒的な軽量性は他の追従を許しません。アルミ製のものはぱっと見のデザインは高級感ありますが、旅でボコボコの擦り傷だらけになってしまうので個人的にはあまりおすすめできません。その傷具合が旅の思い出になるというのが売りですけど、傍目には汚く見えるだけなんですよね。
4輪スーツケース
僕が愛用しているのはこちらのサルサエアーというリモワの中でも最軽量のモデルです。このスーツケースとはもう世界10周分くらいは行動を共にしていますかね。常夏の東南アジアから極寒の北欧まで、過酷な気候条件もものともせず現役バリバリ。全幅の信頼を置いています。お値段はそこそこしますが、もう十分に元は取れているのではないでしょうか。
RIMOWAのロゴの部分はシールなので、これ気づいたら外れてます。。 いつか無くしちゃうんだろうなと思っていますが、まだしぶとく生き残っていますね。ちなみにグレーのデザインは他の人と被りがちなので、目印になる大きめのシールを貼るか海外旅行用には派手な色を選んだ方がよいかもしれませんね。(写真は補正して消していますが、実際には僕もいくつかシールを貼って一目でわかるようにしています)
2輪キャリーケース(廃番)
これも7、8年利用しているものですが、この2輪タイプは現在は廃番になっており、このサイズでも現在は4輪のものしか手に入りません。後述しますが、犯罪や事故防止のためにも4輪タイプがおすすめなので、正しい商品ラインナップの変更だと思います。
1、2泊の出張に行く時などに非常に便利なタイプです。荷物が少ない方ならビジネスバッグとの併用で頑張れば1週間いけますね。
持ち手が細いので取り回しがとても良かった反面、おそらく壊れやすかったのでしょうね、最近のモデルでは太くなっています。(僕のものも劣化して少し伸縮がしづらくなってしまっています)
蛇腹式の仕切りは取り外しもできるので荷物の収納方法は割と応用がききます。縦に開くことができるので、ちょっとした荷物の出し入れなども便利です。(ただし、2輪だとこのタイプの開き方だとバランスを崩して倒れるので要注意)
リモワのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・圧倒的な軽さ ・抜群の収納力 ・壊れにくい | ・高い ・他の客とかぶる ・金持っていると思われるので 治安悪いところに行く場合注意が必要 |
リモワはネットだと並行輸入品しか見つからないので、参考までにアフィリンクは貼っておきますが基本的にデパート等で正規品を購入されることをおすすめします!
TUMI|トゥミ
ビジネス利用だと、ビジネスバッグを上に乗せたり、いろいろな場面で手軽に中にアクセスできるかどうかというのも重視したいポイントになってきます。その点、ビジネスバッグの王者トゥミは抜かりないギミックが多くあり、その点で有力候補です。
独自のバリスティックナイロンによる圧倒的な頑強性で、昔からコンサル業界御用達のアイテムでしたが、リーマンショック前後の頃からデザイン性に力を入れ始めて一気に人口に膾炙したイメージです。僕も若い頃から数個トゥミのビジネスバッグをいくつか利用してきました。
かつて黒一色だったカラーリングも最近はカラーバリエーションが増え、僕はこちらのモデルを利用しています。独立ポケットと内部アクセス可能なポケットがついているのでパソコン等の収納などにも便利です。
ナイロン製の表皮は雨の日などにちょっと汚れが気になってしまいますが、正規店に行くとクリーナーなども販売していますね。
本体がめちゃくちゃ重いので、特に取っ手とキャリー部分がよく壊れるとの悪評がありました(壊れた人をたくさん知ってます)が年々改良を重ねられており、僕が現在使っている比較的最近のキャリーケースは今の所なんともなく生きています。
ただ、僕の荷物が多い(カメラとレンズとパソコン複数台)ので、キャリー部分がきしんで安物のママチャリみたいな金切音が出るようになってしまいました(めちゃくちゃ音がでかいので恥ずかしい)。。。シリコンスプレーを時折吹きかけてなんとかしのいでいます。
あとはチャック部分が経年劣化して外れていつのまにか無くなってるんですよね。これ、どうにかならないですかね、トゥミさん。。
メリット | デメリット |
・他の追随を許さぬ強靭性 ・ポケットのアクセス | ・めちゃくちゃ重い ・高い ・ナイロンが汚れる ・他の客とかぶる ・金持っていると思われるので 治安悪いところに行く場合注意が必要 |
TumiはAmazonで公式が販売しているのでネットからの購入でも路面店で買うのと違いありません。ただし、モデルによって細かい違いがあったりするので、細かい部分をこだわりたい場合は店舗によって用意されているモデルが異なるので正規店をいくつか回ってみるとよいと思います(結果、悩んで選べなくなるだけなのですが。笑。僕も決めるのに半年くらい悩みました)。
Samsonite|サムソナイト
サムソナイトもビジネスバッグの定番ブランドですね。このエヴォアというブランドが発売されてすぐに購入し、一時期利用していたことがあります。
キャリー部分が段差に対して上下動するというスムーズに走行するための特許技術が使われているというのがウリなのですが、ガタガタ道を転がすとカラカラと安っぽい音を発するのが欠点です。これはデパートではわからないので注意です。
外部アクセスできるポケットは内部とは完全に別になっており、パソコン用のクッションもしっかりしているのでビジネス利用にはかなり使い勝手が良かったです。
ただ、これキャリーの取手部分がめちゃくちゃ細いので、鞄を持ち上げた拍子にちぎれてしまいました。保証期間中なので修理に出そうと思いつつ、もう何年もクローゼットの肥やしになっています。。横着せずに持ち上げるときは丈夫な持ち手部分を持つようにしましょう。
メリット | デメリット |
・リモワやトゥミより安い ・軽量 ・ポケットのアクセス | ・ローラーの音がうるさい ・壊れやすい(?) |
取り扱い注意な要素がありつつも、壊してしまうまではリモワよりも高頻度で使っていた結構お気に入りのモデルでした。ネットで購入可能です。このモデルは大手デパートだとだいたい取り扱いがあると思います。
その他
グローブトロッター
お洒落な出立ちの旅行客のスーツケースを見ると大体これ、という旅行カバンとしては憧れデザインのグローブトロッターです。空港などで見かけるたびに欲しいなと思うのですが、これ上述したとおりPSAロックがついていないのが大欠点なんですよね。
こちらはアルミ製の英国王立空軍(RAF)の限定コラボモデルが発売されていた時期にロンドンの旗艦店で撮った写真です。
表面がフラットなのでいろんなシールを貼っている方が多いのもこのブランドですね。
メリット | デメリット |
・軽量性 ・収納スペースが広い ・ステッカーなどで個性をアピールしやすい | ・高い ・PSAロックがついていない(鍵) |
お値段は別格ですが、まあ
スーツケースレンタルもおすすめ
いくつか紹介してきましたが、僕のように年の半分以上をスーツケース持って移動するような人は滅多にいないと思います。もし旅行でスーツケースを利用するのが年に1度や2度くらいの頻度であれば、わざわざスーツケースを買うのはもったいないですよね。家に置いておくにも結構スペース取りますし。。
で、そういう場合にはスーツケースのレンタルがおすすめです。配送も近年は便利になりましたし、いろいろ試しつつ最適化を目指していけるメリットもあるので利用してみてはいかがでしょうか。
ということでレンタルサイトへのリンクを貼っておきます。
スーツケース専門なら > 即日発送可能!【アールワイレンタル】
おまけ:スーツケースが壊れたら
飛行機を降りてスーツケースレーンで待っていると、鍵部分が破壊されて出てくることがたまにあります。。上述した通りPSAロックであってすらなぜか不可解にぶち壊されてしまっていたときは怒りを通り越えてあきれましたが、そういうこともあるのであきらめ・・・れるわけがないですよね!
でもご安心を。手荷物に預けてスーツケースが壊れていた場合は、空港で航空会社の係員に報告すれば、航空会社負担での修理を受け付けてくれます。数週間預かりになってしまいますが、まあ壊れてゴミになるよりはよほどマシですので、くれぐれも壊されたときは泣き寝入りせず、必ずその場でクレームを入れましょう!!
おまけ:2輪キャリーケースのリスクについて
これはもう15年くらい昔の話ですが、僕は若い頃に当たり屋に出くわしたことがあります。
2輪タイプのゴロゴロを転がしながら大阪の難波を音楽を聴きながら歩いていると、突然後ろから声をかけてくる変なおじさんが。何やら騒いでいるのでイヤホンを外して話を聞いてみると、スーツケースにひっかかってこけてメガネが壊れたとか言ってきます。
モノに引っかかった感触なんてまったくなかったので、今の僕なら全力でガン無視するか、監視カメラ映像を確認しに警察に行こう言って黙らせるなどなんとでも対処できると思うのですが、無垢な20代の当時、メガネの修復するからコンビニでテープを買え(謎すぎます)と行ってくるその浮浪者風のおやじに不覚にも無抵抗でついていってしまいました。
コンビニでその支払いをしてみたら、「これ高いやつやねん」と、どう見ても偽物のグッチのめがねを見せつけながら、「困ったな、今から遠出するんやけど」と、明らかに出かける姿ではない手ぶらの格好で言ってきます。それを聞いてクソ面倒になった若かりし僕は、その場で財布に入っていた2万円を渡し、颯爽と消えていくその詐欺師の後ろ姿を後にしたのでした。
苦々しいエピソードですが、世の中にはこういう当たり屋が現実にいます。海外でも似たような手口があるので要注意ですね。その後、実は何度かそういう手口を目の当たりにしたことがあるのですが、長くなるのでまたその話は別記事で書くことにしましょう。
いずれにせよ、こういうのを防ぐ意味でもキャリーケースは2輪よりも4輪がおすすめです。
まとめ
周遊旅行などをする場合、スーツケースの使い勝手はやはり旅の満足度に影響を及ぼす場面が結構あります。スーツケース売り場などでは有象無象のデザインが並びますが、記事序盤に書いたようなポイントを押さえて、満足のいくものを選んで欲しいなと思います。